実絵子のつくってみりん

男性に多い「孤独死」。普通の人が突然陥る孤独死の背景とは

孤立・孤独者は一千万人といわれ、孤独死で亡くなる方も増えている現在。
こどもがいても、こども自体が「親とかかわりを持ちたくない」という家庭もあり、普通の人が突然孤独死に陥ることもあります。

10月17日放送の『北野誠のズバリ』、話題の本の著者にインタビューする「ズバリこの人に聞きたい」のコーナーでは、『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』の著者で、フリーライターの菅野久美子さんに、孤独死の背景について伺いました。

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事故物件に多い孤独死

事故物件の情報提供ウェブサイトを運営している大島てるさんと一緒に本を出すことになった菅野さん。

事故物件の取材でお家を巡ると、ほとんどが「孤独死」だったことに気づいたと言います。

菅野さんによると、孤独死の原因で一番多いのは「社会的孤立が進んでしまったこと」。
単身世帯や生涯離婚率の増加も一因にあるんだそう。

さらに「友人や同僚とのコミュニティとの交流がない」と答える人が多く、OECD(経済協力開発機構)の中でもトップだと菅野さん。

日本に孤独死が増えてきた理由は、こういったところにあるようです。
 

緩やかな自殺「セルフネグレクト」

孤独死する方の8割は男性。
家族との生前の関係性が薄く、離婚後に社会からも孤立してしまった人が多いと言います。

遺品の中からこどものアルバムが出てくるなど、かつては家族との縁があったのに、切れてしまったという方も少なくないんだとか。

妻との離婚や死別で夫がひとり残されてしまうと、孤独死に繋がりやすくなります。

この場合多いのは、「緩やかな自殺」といわれている「セルフネグレクト」。
ゴミ屋敷に住み、不摂生な暮らしを送り、犬猫を大量に飼ってしまってお世話ができなくなって亡くなっていくという、非常に痛ましいケースが多いと菅野さん。
 

息子は我関せず

菅野さんが印象的だったのは、アルコール中毒で借金を作って出て行った男性の特殊清掃に立ち会った時。

お坊さんが来ても息子さんは我関せず。

菅野さんとお坊さんと清掃業者で手を合わせることもよくあると言います。

それでも、ほとんどの遺族は現場に現れないため、これはまだいい方のケース。

火葬費用が行政負担になったり、遺族が相続放棄をして大家さんが何百万もの費用を支払わなければならなかったり、という問題も起こっています。
 

親とかかわりたくない人のサポート

菅野さんの著書『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』に度々登場する、一般社団法人LMNの遠藤英樹さんが手掛けているのは「終活サポート事業」。

おひとり様をお墓まで看取る事業ですが、親や親族とかかわりたくないという方のサポートが多いそうです。

自分が一人になってしまった不安で依頼される方が多いと思っていたという遠藤さんですが、いざ蓋を開けてみると「面倒くさい親族がいる」「親とかかわりたくない」という方からの依頼が多かったんだそう。
 

「血縁主義」の問題点

北野誠がこの本を読んで思ったのは、社会や行政のシステム自体が「親のことはこどもが面倒みるのは当たり前」となっている「日本の血縁主義」について。

「小さい時に父が出て行ったため知らない」といった細かい事情は、行政にはわからないだろうと指摘します。

「日本は血縁をベースにしてるなとすごく感じる」と菅野さん。
そこに齟齬(そご)が生まれているのが現実としてあるということです。

「今後、日本の家族はどうなっていくと思われました?」と尋ねる北野に、「今後は完全にこの勢いが加速していく」と菅野さん。

個人の孤立と分断がどんどん加速していくという流れになってしまうため、LMNの遠藤さんのような活動をされる方が必然的に増えてくるだろうとみているそうです。
 

大切なのは「人と人との関係性」

行き場のないお骨の問題など、行政の方の負担も増えています。

行政側の「血縁関係があるから世話するのは当たり前」という考えは、「完全に難しい、崩壊している」と菅野さん。

そういう意味でも社会とのコミュニティや、人と人との関係性を築くことが大切になるということでした。

『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』(角川新書) 
(minto)
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2020年10月17日10時31分~抜粋

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