健康ライブラリー

高齢者の閉じこもりに民間企業との連携を。愛知県瀬戸市の取り組み

CBC論説室の後藤克幸特別解説委員が医療や健康問題の最前線を解説する『健康ライブラリー』。
「スマイル・リポート」では、リスナーの身近な地域で活躍するさまざまな多職種医療チームの活動内容やスタッフと患者・家族との交流エピソードについて紹介しています。

2月2日の放送では、瀬戸市健康福祉部高齢者福祉課の出口賢太さんにお話を伺いました。

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特に力を入れていること

私の仕事は、シニア世代の介護予防を推進することです。
瀬戸市ではシニア世代の方に楽しんで介護予防に取り組んでもらうことに注力をしています。瀬戸市の財産である市内の民間企業、NPO法人、生涯学習グループと連携し、バラエティ豊かなプログラムを用意することで、シニア世代の方に自ら選んで楽しく介護予防に参加していただいております。

その一環として、今年の1月から株式会社東海第一興商様と連携して、新たな介護予防事業を開始いたしました。
第一興商様が推奨されている「スポーツボイス」というプログラムなどを活用し、瀬戸市内のお寺を会場としておこないます。お寺で介護予防というのが、私どもとしても新しい取り組みであり、新鮮な気持ちで介護予防に参加していただけるのではないかと考えております。
 

先日、そのための体験会を開催したのですが、120名の方にご参加いただきました。目新しさや民間企業にご協力いただくことで、高齢者の皆さまの興味を大きくひくことができるのだと痛感しました。

また第一興商様では、地域の担い手育成にも力を入れていると聞きました。市としても教室に参加するだけでなく、講師やサポーターとして役割を担っていただける人材を増やすことを推進しており、何よりもご本人の生きがいづくりや介護予防につながると思っています。そういった面でも今後も期待しております。
 

心に残るエピソード

私自身、介護予防の現場に伺う中で、95歳の参加者の方とお話しする機会がありました。
その方が参加されていたのが、椅子に座ったままできるヨガ教室だったのですが「この内容だったら自分にもできると思った、何よりここに通うようになって友達ができて、教室が終わった後に一緒にお茶をする時間が楽しみになった」とお話されていたことがとても心に残っております。

また先日、第一興商様から高齢者が生き生きと参加されている「スポーツボイス」の教室動画を見せていただきました。
その動画の中では、男性の高齢者が大変大きな声を出して活動されていらっしゃいました。担当の方は「高齢者は確かに身体は衰えてくるが、知らず知らずのうちに自分自身で高齢者だからと、こんなものだとブレーキをかけているのだ」とおっしゃっていました。
そういった心を少しずつほどいていくことで、高齢者の皆さまがどんどん生き生きとしてくるそうです。

楽しいことが結果的に介護予防になる、それを掘り起こして提供するのが、私どもの仕事だと考えております。

現場での課題

介護予防の現場に行っても「あの教室に参加したいんだけれども車がなくて行けない」という生の声をよく聞きます。シニア世代の免許返納が話題になっている中で、移動手段の問題をいかに支援していくかというのが今後重要になってくると思います。

ちなみにですが、第一興商様では自動車学校でも介護予防教室を開催していると聞きました。教室に参加することで、ご自身が運転をするための身体の状態を認識するきっかけにもなっているようです。
公共交通機関が発達してないクルマ社会のエリアでは、高齢者の免許返納による外出機会の減少、閉じこもりが問題になってくると思います。民間企業との連携も視野に入れて、こういった問題に取り組んでいくことが重要だと考えます。
 
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