健康ライブラリー

認知症予防に、唾液の増加が効果あり

身近な医療について専門家の意見を伺う『健康ライブラリー』の「教えて!ドクター」のコーナー。

12月は「健康と音楽」について、一般社団法人日本音楽健康協会の戸塚圭介理事長にお話を伺っています。
聞き手はCBC論説室の後藤克幸特別解説委員です。

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NGFと認知症予防

健康における音楽の重要性について、科学的な裏付けがあるという戸塚さん。
いったいどのようなことでしょうか?

戸塚さん「加齢を感じるというのは、よく目から、そして口、脚などと言われるんですが、このうちお口の老化という点を考えると、やはり歯が抜けたり、噛む力が弱くなったり、そして大きいのは唾液の量が減ってくるということが重要です。

なかなか気づかないんですが、唾液の量が減っていくといろんな悪影響を及ぼすんですね。逆説的に言うと、唾液の出る量を増やすことが必要になってきます。

実はこれを歌や音楽の力で増やすことができるということなんですね。
唾液の効果には抗菌作用や、粘膜保護など身体を守る役割があるんです。NGF(神経成長因子)という物質が唾液から分泌されることを発見した方が、ノーベル賞を受賞しているんですよ。

このNGF、実は脳の損傷を修復する作用を持っていて、認知症の予防にもつながるのではないかと期待しています」

歌でストレスが減る理由

歌を歌うことによって、どのような効果が表れるのでしょうか?

戸塚さん「我々の研究により、3曲ほど歌った後、ほとんどの方に唾液が増えているという結果が出ました。
その唾液に含まれる物質を分析したところ、NGFもそうですが、その他に『コルチゾール』というストレスホルモンがどのくらい減少できるかということも研究してみました。

口が乾く『ドライマウス』というものは、ストレスが原因だとよく言われています。
唾液中に含まれるコルチゾールが少なくなると、ストレスが改善されているということですが、被験者全員が歌った後にコルチゾールが減ったという結果が出ました。

歌の好きな人はいいんですが、歌の嫌いな方は逆にコルチゾールが増えるのではないかとも言われたんですが、実は歌の好き嫌いにかかわらず、同様に減ったという結果が出たんです」

音楽はいつもそばにある

一般社団法人日本音楽健康協会として、今後はどのようなことを目指されているのでしょう?

戸塚さん「音楽や歌はいつも人々のそばにあって、音楽を耳にしない日はないんじゃないかと思います。そういう背景にはきっと歌うことが楽しかったり、最近では身体にいいということを皆さんが知っているということがあるんでしょう。

協会では歌うことを習慣化してもらえたらいいなと。それで長生きするための新しい生活習慣になっていけば幸いかと考えています」
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2019年12月08日06時05分~抜粋

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