多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

朝井まかて『落陽』

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★内容紹介
・舞台は大正時代。明治天皇崩御後、東京に明治天皇を記念する何かを作りたいという
気運が高まる。そこで出た案が、神宮の建設。
・ところが候補地となった代々木御料地は、当時はまだ荒野。しかも土壌が悪く、
  近くを走る蒸気機関車のせいで空気も悪い。神宮林の植生に向かないことが判明する。
  (森こそ神のいる場所という考えから、神社には林や森が不可欠)
  だが政府は代々木を神宮の場所として決定、人工林を作るため帝国大学農学部の
  教授をはじめ、関係者の努力が始まる。果たして、荒野に神宮林は作れるのか?

★読みどころ(1)荒地に豊かな林を生み出す計画
  関係者の苦労の様子も読み応えたっぷりだが、普通の方法で植林することを諦め、
150年後の完成を目指す計画がすごい。全国から献本を募り、
  まずは最初の50年でこうして、次の50年でこうなって、150年後には自然林に
  なるという壮大な計画。今のあの豊かな神宮内苑の誕生秘話に驚く。

★読みどころ(2)渋沢栄一の名前が登場
  新一万円札の人。明治神宮創建の提案者のひとり。本人は物語には登場しないが、
  名前が随所に出てくるため、何をしたどんな人なのかよくわかる。

★読みどころ(3)主人公の新聞記者
  物語の語り手はひとりの新聞記者。
彼は明治天皇崩御の時、多くの一般の人が嘆き悲しんでいるのを見て、
「天皇って何なんだろう、明治ってどんな時代だった んだろう」という疑問を持つ。
そして明治神宮建設を取材する一方で、
初めて京都御所を出て東京にやってきた青年天皇がどんな気持ちだったのか、
自分たちはそこから何を学ぶべきなのかを調べ始める。

・明治から大正に時代が変わった時を舞台に、
時代を超えて受け継がれていくものを描いた物語。

朝井まかてさんの『落陽』
祥伝社文庫から778円で販売中です。

 
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