大谷ノブ彦のキスころ

大谷ノブ彦に久野誠が伝えた 星野仙一さん最後のサプライズ

ダイノジ・大谷ノブ彦が音楽、映画、名古屋のグルメ、和菓子、中日ドラゴンズなど、好きなものをアツく語る番組『大谷ノブ彦のキスころ』。

1/28の放送では、元CBCアナウンサーの久野誠さんがゲストで生出演しました。

久野さんと言えば、38年に渡りドラゴンズの試合の実況中継を担当し、ファンからは「ドラ実況の代名詞」として愛されてきた存在。もちろん、ドラゴンズの話で大いに盛り上がったのでした。

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気になる定年後


昨年12月をもって定年を迎え、43年間の局アナ生活を終えた久野さん。現在もフリーとして、CBCラジオ『多田しげおの気分爽快!!朝からP・O・N』の「スポーツ川柳」コーナーを担当するなど、今後も幅広い活躍が期待されています。

ドラゴンズの語り部として、またラジオのパーソナリティーとして、大先輩である久野さんを迎え、緊張気味の大谷。
しかし、早々と久野さんを戸惑わせます。

「リスナーから何通も心配するメールが来てたんですが、フリーになって他局に行くなんてことはないんですか?この先の予定は言っても大丈夫なんですか?」

対して久野さん。

「あ、あのー、ちらちらっと、ちょっとお話は、少しは…」

高校野球の県予選の実況や、ケーブルTVのドラゴンズ応援番組などのオファーをもらっているんだとか。
受けるかどうかは未定だそうですが。

さらに大谷が畳み掛けます。

「CBCの系列以外の、他局のテレビ・ラジオからお昼のワイド番組なんかのオファーが来た場合は、久野さんどうしましょう?」

「どうしましょう(笑)。それをCBCで話すのは、言いづらいですね(笑)」と、久野さんもタジタジです。

メジャーリーグから学んだこと


次は、かつて久野さんがアメリカへメジャーリーグの試合を観に行っていたという話に。

「1987年に会社からですね。あのー、CBCっていい会社なんですよ(笑)。『お前、テレビ・ラジオで野球実況やっているし、ドラゴンズ応援番組(サンデードラゴンズ)もやっているんだったら、やっぱり本場の野球をいっぺん見に行った方がいい』と。それで研修で行かせてもらったんです」

その時、敵チームのプレーでも褒め称えるという、アメリカの観戦スタイルに感銘を受けたんだそう。

シカゴのリグレー・フィールドという球場に行った時のこと。
3対0で地元のシカゴ・カブスがリードしていました。ところが相手のシンシナティ・レッズが9回表に4点入れて逆転。思いもよらぬ9回ウラがやってくることになったのです。
ちなみに、アメリカでは客席の9割以上が地元のファンで埋め尽くされます。

久野さんが当時の模様を語ります。

「9回ウラ、2アウトランナー1塁で4番バッターが、右中間へ弾丸ライナーを飛ばしたんです。そしたらその時のシンシナティ・レッズの、エリック・デービスという三拍子揃った素晴らしい選手が、このボールをダイレクトでキャッチして、レンガ造りのフェンスにドーン!と激突して倒れて」

ただしボールはグラブの中に入れたまま。デービス選手は倒れ込んだまま、全く動かなくなったそうです。

「9回ウラ2アウト、ランナー1塁でそのプレーが起こったもんですから、当然、もし抜けていればホームインして4対4の同点になるはずだったのに、それを阻止した憎き相手のレッズの、エリック・デービス。全く動かなかった。そこに担架が運ばれて。結局その年全く試合に出られなくなった、そのくらいの大ケガだったんですけど、担架に乗せられて、ネット裏の医務室に運ばれる時に、地元のカブスのファンが立ち上がってスタンディング・オベーション!」

いいプレーがあれば敵味方関係なく拍手を送るという、当時の日本ではまず考えられなかった光景。
アメリカのファンの選手に対するリスペクト、野球に対する愛は、その後の久野アナの姿勢に大きな影響を与えたのでした。

パジャマを着るな!


久野さんは早稲田大学時代にアナウンス研究会に所属し、東京六大学の実況をしたものを学園祭でダイジェストで流すなどの活動をしていました。

そのテープをCBCに送ってアピールし、スポーツアナとして迎えられた…はずだったのに、入社時に”色物ラジオディレクター”と出会い、バラエティー畑で鍛えられるのでした。

結果、それが長年のアナウンサー生活の礎となったのです。

久野さん「この人、名言がいっぱいありましてね。例えば『アドリブは用意しておけ』」

大谷「いい言葉ですねえ。思い当たる節がありますから。ざっくりしたフレーズとかいっぱい用意しておくみたいな感じなんでしょうね」

最近会った時にはこう言われたそうです。

「お前、いったんパジャマ着たら、なかなか背広はまた着にくいぞ」

「ノンビリするな、老け込むなという意味だと思います」と久野さん。まさに師匠的な存在なのでした。

松坂大輔の入団について


久野さんが生まれ育った三重県津市は、ドラゴンズよりも読売ジャイアンツや阪神タイガースファンが多い地域です。

津市時代の久野さんが最初大好きだったのはジャイアンツの長嶋茂雄選手。それがやがてジャイアンツの体質に疑問を持つようになり、高木守道選手の職人技に惹かれてドラゴンズを好きになっていったんだそう。

そのドラゴンズは今年、松坂大輔投手を獲得しました。

久野さんが彼を初めて間近で見たのは、1999年春のオープン戦。
地方球場の中日対西武戦で、高校卒業したばかりの松坂投手の投球を、ベンチレポーターとしてネット裏で目の当たりにしたのでした。
真っ直ぐはもちろん、スライダーの凄さに感動したんだそう。

その当時とは違う今の松坂投手は、果たして獲得する意味はあるのでしょうか?
久野さんの答えは「もうウエルカムもいいとこですよ!」
その理由として、こう語ります。

「戦力云々よりも、彼から学ぶものはきっとすごくあると思うんですよ。僕が一番今年期待している投手が、小笠原慎之介なんですよ。この小笠原がですね、僕のことを最初会った時から『久野じい』と、人をジジイ扱いして。ズケズケと歳上の人に入っていけるタイプなんです」

松坂投手は会見で「自分はツッコまれやすいタイプ」と言っていたので、小笠原投手が松坂投手の懐にどれだけ入って吸収し成長できるか、久野さんは楽しみなんだそうです。

星野さんが最後に残したサプライズ


久野さんと言えば、故・星野仙一さんとの親交が深かったことで知られています。
星野さんの最後のメディア出演は、昨年12/12に生放送されたCBCラジオ『ドラ魂KING』。パーソナリティー・久野さんが定年退職するということで、楽天イーグルス副会長という立場でありながら、番組に駆けつけてくれたのです。

実はこの話には後日談があります。

この『キスころ』放送の2週間程前に、CBCスポーツ部で新年会、実質的には久野さんを送り出す会が行なわれました。
店を借り切り、店内モニターにはスタッフが作った「星野仙一と共に歩んだ久野アナの43年」という映像が流れました。

過去のインタビューのシーン、星野さんの名言などが次々と流れる中、なんと!
前述の『ドラ魂KING』出演前に、久野さんに秘密で撮影した生前の星野さんのメッセージが流されたのです。

もう久野さんは人目もはばからず号泣。最後まで、自分の人生も他人の人生も演出し続けた、星野さんらしいエピソードでした。
(岡戸孝宏)
大谷ノブ彦のキスころ
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2018年01月28日13時53分~抜粋

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