多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

成田名璃子『いつかみんなGを殺す』

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★内容紹介
・舞台は東京の格式あるホテル。大事なライブイベントを夜に控えたある日、密かにお家騒動が起きていた。総支配人は祖父からホテルを譲り受けた鹿野森優花。しかし先代からの副支配人は、若い女性である優花の下に甘んじることができず、ホテルの命運をかけたイベントを潰そうとしている。その方法は、清潔であるべきホテルにゴキブリを放し、信頼を失墜させるというもの。
・同じ日、ホテルのスイートルームには有名な歌舞伎俳優が泊まっていた。この歌舞伎俳優は舞台の前に必ず行う儀式がある。かつて、舞台前にゴキブリを見たときに大成功をおさめたことで縁起担ぎとして、毎回事前にホテルで特大のゴキブリを前に見栄を切るのだ。そのためゴキブリ飼育専門の付き人も雇っていた。当然、そんなものをホテルに持ち込むのは秘密にしている。が、なんとこの付き人がうっかり特大のゴキブリをホテル内で逃してしまった。ホテルの厨房で特大ゴキブリが目撃された後、副支配人の策略も動き出す。目撃情報を聞いた総支配人の優花は、以前よりホテルが提携していた伝説のゴキブリハンターに出動を依頼。
・しかし話はそこで終わらない。ホテルには他にも事情のある人が集まっている。失恋したピアニストもいれば、恋人の浮気を疑って乗り込んできた女性もいる。そんな人たちの行動と思惑が絡み合い、事態は思わぬ方向へ──。果たしてホテルは客にゴキブリを気づかせることなく、イベントを終わらせられるのか?
★読みどころ)これぞコメディ、というドミノ倒し。
イベントを失敗させたい副支配人、ゴキブリを見つけたら即座に殺すハンター、そこにゴキブリは見つけなくてはならないが縁起物なので殺してはならない歌舞伎役者の付き人、というそれぞれ目的の違う3者が入り乱れてのドタバタがめちゃくちゃ面白い。しかも、恋人の浮気を疑ってホテルに乗り込んできた女性というのが、この付き人の恋人。付き人はゴキブリの飼育をしているとは彼女に言い出せず、秘密にしていた。そしてこの彼女は殺虫剤の会社に勤める研究員。ゴキブリを探す付き人と、その付き人が浮気をしていると思って追いかけ回す彼女のドタバタが、他の副支配人やハンターへも影響していく。他にもピアニストやシェフなど、この人の存在がここで効いてくるの?というドミノ倒しのようなつながりが実に面白い。ゴキブリを客の目に触れさせないようにとっさに隠す技とか、小ネタにも笑える。そんなホテル全体を巻き込んでの大混乱が、どう決着するのか。終盤はかなり斜め上の展開。かなり無理筋ではあるが、設定自体が無理筋だし、とにかく勢いがあるので細かいことも気にならない。
・舞台や映画で見るとかなり笑えそうだが、スクリーンで特大ゴキブリは見たくないので想像力を駆使して小説で楽しんでください。

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