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矢野隆『The Legend & Butterfly』

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・現在公開中の映画、『The Legend & Butterfly(レジェンド&バタフライ)』のノベライズ。木村拓哉さんが織田信長を、濃姫を綾瀬はるかさんが演じています。
★内容紹介
・織田信長のもとに、美濃の斎藤道三の娘・濃姫が嫁いできたところから話は始まる。しかしどちらも気が強く、初夜からとっくみあいのケンカになる始末。しかも濃姫の方が口でも腕っ節でも、2枚も3枚も上手だった。だが、駿河の今川義元が迫ってきて勝ち目はないとなったとき、濃姫が桶狭間での奇襲を提案する。そして家臣たちをその気にさせるための演説までプロデュース。その後、相変わらずケンカは多いものの、濃姫は信長のよきパートナー、よきブレインとなっていく。しかし、あることがきっかけでまたすれ違い始め……。
★読みどころ1)映画を忠実に再現しつつ小説ならではの工夫がある
映画の脚本をもとに矢野隆さんが小説仕立てにしたものだが、矢野さんは10年以上のキャリアを持つ歴史小説家で、小説としてとてもよくまとまっている。特に注目して欲しいのが、信長の尾張弁と濃姫の美濃弁。映画でもこのふたりは時々方言を使っている(これだけでもかなり珍しい)が、小説は映画よりも方言度合いが強い。日本語で表現しづらい尾張弁の「でぁ」なども多く出てきてこの地方の読者には馴染みのある言葉が小説で読めるのも楽しいし、映画でよく聞き取れなかったというところを確認するのにもおすすめ。
★読みどころ2)映画で説明されない部分の説明がある
物語の中心は信長と濃姫の夫婦関係。したがって桶狭間とか姉川の戦いとか比叡山焼き討ちといった歴史上の事件も夫婦のありかたを描く材料として構成されているので、映画では歴史的背景の説明がほとんどない。それ以前に、登場人物の紹介もロクにない。それでもちゃんとわかるようになっている(わからなくても楽しめる)のが映画のすごいところだが、ノベライズではそういった部分に(映画よりは)説明が加えられているので映画のサブテキストとしても読める。
★読みどころ3)史実なのに意外な展開
もちろん史実は変えていないが、史実に矛盾のない範囲での歴史解釈が新鮮で、特に、なぜ明智光秀が信長に謀反を起こしたかの解釈はこれまで見たことがない。光秀については、たぶん収録はしたけどカットされたらしい場面がノベライズでは残っているのでさらに理解が深まるはず。また、本能寺についても意外な展開がある。
・歴史についてそれほど詳しくない、という人はノベライズを先に読んでおくといいかも。
矢野隆『The Legend & Butterfly(レジェンド&バタフライ)』
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