★内容紹介
・物語の始まりは、幼い少女・シシーの遺体が発見される場面。その犯人として１５歳のヴィンセント・キングという少年が逮捕される。彼は大人と同じ裁判を受け、１０年の刑に服することに。その後、刑務所内でのトラブルからさらに２０年、刑期が延びる。
・シシーの死とヴィンセントの逮捕は周囲の人の運命を変えた。シシーの姉であり、ヴィンセントの恋人だったスターは、その後、父親のわからない子供をふたり産み、育児もろくにせずアルコールに溺れる日々。ヴィンセントの親友だったウォークは今は警察署長になっていて、そんなスターを心配する一方、ヴィンセントのこともずっと気にかけていた。そして事件から３０年、ヴィンセントが釈放されて町に戻ってくる。そしてある事件が起きた──。
★読みどころ１）スターの子どもたちの物語。
物語にはふたりの視点人物がいる。ひとりはウォーク。そしてもうひとりはスターの娘である１３歳のダッチェス。ダッチェスは仕事も育児もろくにしない母親のもと、まだ５歳の弟のロビンを懸命に守って生活していた。けれどヴィンセントが帰ってきてからのある事件を経て、ダッチェスとロビンの姉弟は遠くの農場で暮らす祖父に引き取られることになる。ダッチェスはそれまでの辛い生活を弟とふたりだけで耐えてきて周囲はすべて敵だと考えるようになっている。弟の盾になり、他の人を警戒し、大人が手を差し伸べようとしても信じない。常に攻撃的で、弟のためなら暴力も振るうし、敢えて悪ぶってみせて、自分たちに触るなと言わんばかり。けれど周囲にはちゃんと姉弟を心配し、力になってやりたいと思う人たちもいる。そんな人たちの思いにダッチェスが気づけるか、どうすれば彼女の心を融かしてやれるのか、どうかこの姉弟に救いがあるようにと、祈るような気持ちで読むことになる。彼女をそんなふうにしてしまったのは大人の責任で、こういうときに周囲の大人は何ができるか何をすべきなのかを考えさせてくれる。
★読みどころ２）隠された真相の衝撃
その一方で、ヴィンセントが戻ってきてから起きたある事件をウォークが捜査する様子が描かれる。その顛末が謎に満ちていて、ぐいぐい読まされるとともに驚きの真相が待っている。のみならず、今の事件を調べる過程で、この３０年の間にあったある秘密が明らかになる。
★読みどころ３）人生はやり直せるのかというテーマ
この物語の登場人物は皆、30年前の事件からそれぞれ後悔を引きずっている人ばかり。はからずも恋人の妹を殺してしまったヴィンセントもそうだし、その当時親友を助けられなかったウォークもそうだし、ダッチェスとロビンを救えなかった大人たちもそう。不幸な境遇にあるダッチェスとロビンも含め、過ちを犯してしまった人はどうすればやりなおすことができるのか、をこの物語は描いている。
・今年を代表する、心揺さぶる犯罪小説です。
クリス・ウィタカー『われら闇より天を見る』
早川書房から２５３０円で販売中です。
・物語の始まりは、幼い少女・シシーの遺体が発見される場面。その犯人として１５歳のヴィンセント・キングという少年が逮捕される。彼は大人と同じ裁判を受け、１０年の刑に服することに。その後、刑務所内でのトラブルからさらに２０年、刑期が延びる。
・シシーの死とヴィンセントの逮捕は周囲の人の運命を変えた。シシーの姉であり、ヴィンセントの恋人だったスターは、その後、父親のわからない子供をふたり産み、育児もろくにせずアルコールに溺れる日々。ヴィンセントの親友だったウォークは今は警察署長になっていて、そんなスターを心配する一方、ヴィンセントのこともずっと気にかけていた。そして事件から３０年、ヴィンセントが釈放されて町に戻ってくる。そしてある事件が起きた──。
★読みどころ１）スターの子どもたちの物語。
物語にはふたりの視点人物がいる。ひとりはウォーク。そしてもうひとりはスターの娘である１３歳のダッチェス。ダッチェスは仕事も育児もろくにしない母親のもと、まだ５歳の弟のロビンを懸命に守って生活していた。けれどヴィンセントが帰ってきてからのある事件を経て、ダッチェスとロビンの姉弟は遠くの農場で暮らす祖父に引き取られることになる。ダッチェスはそれまでの辛い生活を弟とふたりだけで耐えてきて周囲はすべて敵だと考えるようになっている。弟の盾になり、他の人を警戒し、大人が手を差し伸べようとしても信じない。常に攻撃的で、弟のためなら暴力も振るうし、敢えて悪ぶってみせて、自分たちに触るなと言わんばかり。けれど周囲にはちゃんと姉弟を心配し、力になってやりたいと思う人たちもいる。そんな人たちの思いにダッチェスが気づけるか、どうすれば彼女の心を融かしてやれるのか、どうかこの姉弟に救いがあるようにと、祈るような気持ちで読むことになる。彼女をそんなふうにしてしまったのは大人の責任で、こういうときに周囲の大人は何ができるか何をすべきなのかを考えさせてくれる。
★読みどころ２）隠された真相の衝撃
その一方で、ヴィンセントが戻ってきてから起きたある事件をウォークが捜査する様子が描かれる。その顛末が謎に満ちていて、ぐいぐい読まされるとともに驚きの真相が待っている。のみならず、今の事件を調べる過程で、この３０年の間にあったある秘密が明らかになる。
★読みどころ３）人生はやり直せるのかというテーマ
この物語の登場人物は皆、30年前の事件からそれぞれ後悔を引きずっている人ばかり。はからずも恋人の妹を殺してしまったヴィンセントもそうだし、その当時親友を助けられなかったウォークもそうだし、ダッチェスとロビンを救えなかった大人たちもそう。不幸な境遇にあるダッチェスとロビンも含め、過ちを犯してしまった人はどうすればやりなおすことができるのか、をこの物語は描いている。
・今年を代表する、心揺さぶる犯罪小説です。
クリス・ウィタカー『われら闇より天を見る』
早川書房から２５３０円で販売中です。
