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平岩弓枝『御宿かわせみ』シリーズ

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★内容紹介
・何度もドラマ化された、平岩弓枝さんの時代小説の人気シリーズ。連載が始まったのが1973年(昭和48年)、2005年に一旦完結して全34巻。その後、続編として『新・御宿かわせみ』が7巻まで出ている。大部分が短編で、通算300話を超える壮大なシリーズ。
・時代は江戸末期。大川のほとりで「かわせみ」という旅籠を経営する女主人のるいが主人公。るいの父親は八丁堀の同心だったが、父親が亡くなったあと、るいは養子をとらず武家をやめて町人になり、旅籠「かわせみ」を開いた。「かわせみ」の従業員は同心だった父の下で働いていた人たちで、るいの恋人である神林東吾は奉行所与力の弟ということもあり、「かわせみ」にはやたらと厄介ごとが持ち込まれ、それをるいや東吾、奉公人たちが協力して解決する捕物帳ベースのシリーズ。
★読みどころ1)バラエティに富んだ作品群
旅籠にはいろんなお客さんが来るので、その身分や事情によってさまざまな事件が扱える。(こういう方式の物語をグラントホテル形式といいます)ほっこりした人情ものもあれば、殺人事件を扱うミステリもあり、武家のお家騒動を描いたものもあり、窃盗事件や詐欺事件もあれば、恋愛ものもある。ひとつのシリーズでさまざまな物語が楽しめる。
★読みどころ2)登場人物の変化
登場人物はちゃんと年齢を重ねて、最初は恋人同士だったるいと東吾が途中で結婚し、仲間が増えたり、子供が生まれたり、逆に亡くなってしまう人もいたり、従業員が増えたり減ったり、新しいカップルができたりと環境が変わっていく。明治になると、成長した子どもたちが主人公の『新・御宿かわせみ』が始まる。また、執筆された時代の価値観が物語に反映されているのも興味深い。始まった当時、70年代のるいはおしとやかで東吾のいうことを無条件に聞き、自己主張をまったくしない女性だったが、90年代になるとかなりしっかりしてくる。好まれる女性像が時代によって変わっていくのがわかる。
★読みどころ3)女性作家による時代小説の草分け的存在。
70年代、時代小説は池波正太郎や藤沢周平が人気で、女性作家はほとんどいなかった(歴史小説の書き手はいた)。そんな中、市井の女性を主人公に、家族や仕事や恋愛の話を描いたこのシリーズはとても画期的なもので、男性中心だった時代小説の世界に女性読者を呼び込んだ。今、文庫書き下ろし時代小説のシリーズが人気で毎月たくさんの時代小説が刊行され、半分以上は女性作家。その道を最初に切り拓いたのが平岩弓枝。
・時代小説シリーズの金字塔です。

平岩弓枝『御宿かわせみ』シリーズ
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