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阿津川辰海『録音された誘拐』

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★内容紹介
・探偵事務所の所長・大野が誘拐される。犯人から家族に連絡があったのは、ちょうど大野の妹の誕生日を家族で祝っている最中。そこには、大野に連絡がつかないことを心配した探偵事務所の同僚、山口美々香も同席していた。
・警察が呼ばれ、次の犯人からの連絡を待つことになる。何より不思議なのは、なぜすでに大人の大野が誘拐されたのか。3度目の犯人からの連絡の時、それが判明。実は15年前、大野家の隣の家で誘拐事件が起きていたという。今回の誘拐は、その一件がどうやら根っこにあるらしい。
・しかし大野もプロの探偵なので、さまざまな手を使って情報を伝えようとする。そしてもうひとつ、同僚の美々香にはある特技があった。特異体質といってもいいくらい耳がいいのだ。犯人からの連絡の中に潜む違和感を聞き逃さずに真相に迫っていく……。
★読みどころ1)誘拐犯と探偵たちの攻防
実はこの誘拐犯は、お金で誘拐を請け負った犯罪のプロ。誘拐を完璧なものにするため数々の仕掛けをしてくる。犯人は特に、誘拐が失敗しやすい3つのポイントがあるという。対象を拉致するとき、相手の家に連絡をするとき、そして身代金受け渡しのとき。この3つのポイントそれぞれに「そんな方法で?」と思うような驚きのトリックを用意している。それを探偵たちがどう見抜くのか、見抜いたことをどう伝えるのかが読みどころ。美々香は特に、人には聞こえないような音も聞き取れるという能力の持ち主なのでそれを利用した伝達の仕方に注目。
★読みどころ2)誘拐事件の真相
誘拐された大野の実家は資産家で身代金が要求されるが、どうも大野家の面々には何か隠していることがあるらしい。さらに15年前の隣の家の誘拐はどうかかわってくるのか。しかも大野家の近くで死体が発見され、それが誘拐に関係があるのかどうかも不明。そして誘拐犯が依頼されただけの他人であるなら、それを依頼したのは誰なのか。いろんな因縁がつながって、少しずつ明らかになる背景は驚きの連続。
★読みどころ3)まったく意外な方向からくるどんでん返し
終盤はどんでん返しの連続だが、その中でも最大のものがある。読者が完全に足をすくわれるような展開があるのでお楽しみに。本書は誘拐犯と警察と探偵たちと家族の、それぞれの騙し騙されが堪能できるが、いちばん騙されるのは読者かも?
・エキサイティングな頭脳合戦が楽しめる本格ミステリです。

阿津川辰海『録音された誘拐』
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