多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

朝井まかて『ボタニカ』

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★内容紹介
・ボタニカとは植物・種子という意味。日本植物学の父と呼ばれる牧野富太郎博士の生涯を
描いた物語。明治から昭和初期にかけて日本の植物学を牽引、多くの新種を発見し、日本で最初の植物分類を行った学者であり、小学校中退でありながら理学博士の学位を得た努力の人。来年の朝ドラのモデルであり、今年が生誕160年にあたる。
・牧野富太郎は幕末の土佐に生まれ、幼い頃から植物が大好きな少年だった。家は裕福な造り酒屋だったが家業にはまったく興味なし。暇さえあれば筆と帳面を持って野山をめぐり、花をスケッチし、名前を調べる。植物に集中したくて小学校を中退、独学で探究を続け、上京して植物学の権威たちと知り合い、ついには東大の植物学研究室への出入りを許されるまでになる。
・と書くと、自然と草花を愛する、真面目な人、という印象だが……。
★読みどころ1)実はかなりハチャメチャな人!
草花以外にまったく興味を持たず、自分の好きなこと、やりたいことがすべてに優先する。実家が裕福なのをいいことに高価な専門書をどんどん買い、何度も東京に行く。高知には妻がいたが、東京でも一緒に暮らす女性がいて、そちらに子供もできて、その生活費は実家の妻に送ってもらう。そんなことをしているうちに、とうとう 実家は先祖代々の造り酒屋を畳むはめに!それでも研究費は変わらず使うので借金だらけ。妻が病気になって薬代すらないのに植物採集に出かけて帰ってこない。さらに東大の資料を好き勝手に使って自分の名前で本を出したことが教授の逆鱗に触れ、ついに大学から出入り禁止をくらってしまう。
★読みどころ2)それでもなぜか憎めない、学問への純粋さ。
確かに周りの人間にとっては迷惑だが、牧野博士は、金や名声や出世のために研究するのではなくただ好きなことを極めたいという一心しかない。最近はよく「それが何の役に立つか」で価値が決められるような実利主義が目立つが学問とは役に立つからするのではなく、学問することそのものに意味がある。いつ役に立つかはわからないものを大切に見つめて考え、それが後の世界のなんらかの種になる。そういうものの積み重ねでこの世界は豊かになってきたんだということがわかる。
・「好き」という想いや情熱を社会の中ですり減らすことなく、ただ追求する。そのことの強さと素晴らしさを教えてくれる一冊。
朝井まかて『ボタニカ』
祥伝社から1980円で販売中です。
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