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大矢博子・編『時代小説アンソロジー 味比べ』

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★内容紹介
・食と謎をテーマに5篇の時代小説をセレクト。「おいしい料理でほっこり」という話だけじゃない、謎解きも楽しめるラインナップで、舞台も町の食べ物屋さんから武士の事件までバラエティ豊かに選びました。

西條奈加「カスドース」
江戸のお菓子屋さんが舞台。店主は若い頃、全国をまわって修行し、当時学んだ各地の菓子を月替わりで出すのが人気のお店。ところがある月に出したお菓子が、平戸藩の門外不出の菓子だった!?  なぜ作れるのかと取り調べを受けることに……。
読みどころ
この平戸藩の門外不出の菓子は実在のもので、今もお取り寄せ可能。

宮部みゆき「食客ひだる神」
江戸で人気の弁当屋さん。大繁盛なのになぜか夏場には店を閉めてしまう。そこには、とある妖怪がかかわっていた……?
読みどころ
とにかく美味しそうなお弁当がたくさん出てくる! お腹が空く!そしてこの弁当屋と妖怪の交流がとても心温まる物語。

梶よう子「大根役者」
御薬園同心(幕府の薬草園を管理している武士)のところに、太りすぎで悩んでいる役者が相談に。果たして彼は痩せることができるのか?
読みどころ
ダイエット食。江戸時代の食材と調理法で作るダイエット食の面白さと、御薬園同心なんていう仕事があったのかというお仕事小説の面白さがある。

青山文平「真桑瓜」
年配の武士たちが作っている親睦会で、宴が開かれた。和やかに進んでいたが、最後に真桑瓜が出たとき、なぜか突然参加者の一人が刀を抜いて他の参加者に切りかかった。いったい何があったのか、若き徒目付が謎を解く。
読みどころ
武士の話。刃傷沙汰の動機を探るというかなりシビアな捕物帳だが、事件とは別に、主人公が上司と打ち合わせをする料理屋の料理がすごく美味しそう。

門井慶喜「ぜんざい屋事件」
新撰組の賄い方が主人公。討幕派がアジトにしているらしいぜんざい屋にスパイとして潜入することになったが……。
読みどころ
これがちょっと変わり種で、賄い方の隊士が潜入することになったぜんざい屋のぜんざいが不味い! 普通、この手のアンソロジーで不味い料理はあまり出てこないが、この話では「不味い」というのがポイント。

・町のお菓子屋さんあり弁当屋さんあり、武士も御薬園同心から徒目付、新撰組、はては妖怪が出てくる話もありと、一冊でさまざまな味が楽しめるアンソロジーになりました。

大矢博子・編『時代小説アンソロジー 味比べ』
角川文庫から748円で販売中です。
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