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アガサ・クリスティ『クリスマスの殺人 クリスティ傑作選』

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★内容紹介
・アガサ・クリスティといえば超有名な世界的ミステリ作家、ミステリの女王と呼ばれ、生誕130年、死後45年経ってもいまだに新訳が刊行され、映画やドラマになるほどの人気を誇る。(私もカルチャーセンターでクリスティ講座やってます!)
・そんなクリスティの短編の中から、クリスマスや冬にまつわる短編をピックアップして一冊にまとめたのが、この短編集。先月19日に刊行され、クリスマスシーズンに向けた日本オリジナルの短編集になった。もともとイギリスでも、クリスティが歳をとってからは年一冊、クリスマスシーズンに新刊を出すのが恒例で、「クリスマスにはクリスティーを」という出版社のコピーもある。
・しかも本の装丁が豪華!ハードカバーの箱入りで、雪景色と屋敷、もみの木が描かれており、箱には金の箔押しが使われていて雪の結晶やもみの木がきらきら輝いている。本の本体も、最近ではあまり見かけなくなった重厚な作りで、表紙にはクリスティが生み出した名探偵にまつわる小道具がたくさんデザインされている。クリスティのファンなら「あの小説に出てきたアレだ」と見抜くのも楽しい。
・収録作も豪華。クリスティのシリーズキャラクターで最も有名なのはエルキュール・ポワロという名探偵だが、他にミス・マープルというおばあちゃん探偵や、トミーとタペンスというコミカルな夫婦探偵、ハーリー・クインという謎めいた探偵などがいる。彼らが登場する作品がそれぞれ収録されており、一冊でクリスティの人気キャラクターを横断できる。
・収録作も有名なものから「それを選んだか!」という渋いセレクトでバラエティに富んでいる。たとえば「クリスマスの悲劇」という短編。これはミス・マープルもので、村の名士たちが集まって未解決事件について語り合うというクラブの話。妻が死んで夫が疑われたが、夫には鉄壁のアリバイがあった──という事件で、名士たちが、こうだったんじゃないか、ああだったんじゃないかと推理し合うがわからない。すると、その輪の中に入らず、ずっと暖炉のそばで編み物をしていたおばあちゃんのミス・マープルが「きっとこうですよ」と名推理を披露。ものの数に入ってなかったおばあちゃんがその中で実はいちばん賢かったという痛快な設定。また、「チョコレートの箱」という短編は、自信家のエルキュール・ポワロがかつて 一度だけ失敗したという事件の回想。
・いろんなシリーズキャラクターが味わえるのと、事件のタイプもアリバイ崩しあり動機探しありとバラエティに富んでいるので、クリスティ入門にも最適。すでにクリスティは全部読んでるよ、という人にも、本の装丁が素晴らしいのと、セレクトがクリスマスや冬に特化しているというオリジナルなので、クリスマスプレゼントにすればマニアにもビギナーにも喜ばれる一冊。
アガサ・クリスティ『クリスマスの殺人 クリスティ傑作選』
早川書房から3300円で販売中です。
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