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未上夕二『ハッピーリフォーム』

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★内容紹介
・主人公は木之本工務店に勤める二級建築士の楠さくら。彼女が請け負った四件の設計仕事が連作の形で綴られる。
・第一話はスポーツ用品店のリフォーム。昔ながらの古い店舗を一新したいという依頼だったが、妻のやる気に対して店主である夫の態度が煮え切らない。第二話は家族経営の老舗和菓子店の2号店。営業部長の兄はカジュアルな感じで若い人が気軽に入れるような店を望み、製造部長の弟は和の伝統を重んじた設計にしてほしいと言う。第三話はスポーツジム。他社とのコンペとなったが、依頼者が希望するジムのイメージが二転三転したり値切ってきたり。第四話は、近くにできたアウトレットモールに客をとられた四軒の店の合同再起計画だが、さくらに依頼してきた子供世代と親である店主たちの間に溝がある。さくらは果たしてそれぞれに望み通りのリフォームを提供できるのか?
★読みどころ1)建物と一緒に家族をリフォームする
それぞれにどのような設計プランを出すかが話の軸だが、いずれも依頼側に問題がある。夫婦の温度差、兄弟の不和、親子の断絶。さくらはそれらに振り回されながらも、問題の根がどこにあるのか、そこに暮らす人や働く人が、どうすれば幸せになれるのかを考える。つまりこれは建物のリフォームというモチーフを通して描く、家族関係や人間関係をリフォームする物語。
★読みどころ2)さくら自身の家族の問題
さくらは中学三年のときに建築士だった父親を病気で亡くした。ショックで母は心を病み、弟はまだ小さい。父親が借金を残したため、さくらは進路を変え、夜間高校に通いながら父の知り合いの工務店で働くことに。それから八年、独学で二級建築士の資格を取り、母を支え、弟を高校に通わせ、借金も地道に返してきたが、母親も弟も、さくらが自分たちの犠牲になっているという思いが拭えない。この家族の問題と、さくらが手がけた四件のリフォームの問題を通し、「誰かの我慢や犠牲の上に成り立つ幸せは、幸せではない」ということを描いている。すべての話でさくらはクライアントに「みんなで幸せになりましょう」と言う。さくらの家庭も「みんなで幸せになる」にはどうすればいいのかを考え始める。
・みんなで幸せになるための、建物と家族と「生き方」のリフォームの物語。
未上夕二『ハッピーリフォーム』
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