多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

汀こるもの『探偵は御簾の中』

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★内容紹介
・主人公は平安貴族の青年、祐高。検非違使という今でいう警察の仕事をしていて、別当という高い役職についている。だがそれも家柄故で、本人は警察にしてはけっこうヘタレ。
・祐高には2歳年上の妻・忍がいる。忍は貴族のお姫様としてはかなりの変わり者で、人殺しとか祟りとか鬼とかの話が大好き。夫から事件の話を聞き、その明晰な頭脳で真相を推理し、ヘタレな夫の役に立とうとする。その事件とは、1巻ではバラバラ殺人、密室殺人、宮中に鬼が出る、など。2巻では祐高自身が容疑者にされてしまう。それぞれの事件の真相は何なのか、そして忍は祐高の株を上げることはできるのか?
★読みどころ1)コミカルな中にも平安時代の貴族が細やかに描かれる。
ジャンルとしてはライトノベルで、話し言葉も現代風の言い回しが入ったりしてわかりやすくなっているが、実は平安時代のさまざまな風習や制度が綿密に描かれている。たとえば事件の下手人がどの身分かで扱いが変わるとか、死体は穢れなので扱える身分の者が決まっているとか。検非違使も身分によっては入れない場所があったり。牛車の乗り方が手がかりになったり、忍んでくる男性をどうやって部屋に入れるかが手がかりになったり。高貴な女性は夫以外には顔を見せてはいけないし声をきかせてもいけないのでそれを利用して他人になりすましたり。逆に男性は烏帽子や冠が脱げて頭髪を見られるのが恥ずべきこととされていたり。平安時代ってそうだったのか、という驚きと興味深さがあり、平安時代でしか通用しないトリックや動機が謎解きにかかわってくるのがとても面白い。
★読みどころ2)実は夫婦って何?という物語
当時の夫婦は男性が女性の元に通って来る形式。祐高はこの時代の男性としてはちょっと変わっていて、忍以外に通う相手を持たない。忍を大事にしているのと、もともと恋愛に積極的なタイプではないからだが、これを忍は心配し、なんとか他の女性を世話しようとする。なぜなら当時の男性が複数の女性に通うのは、情報収集など政治の意味もあったので自分しか妻のいない祐高は宮中政治に出遅れるのではないかという心配がある。もともとふたりは身分が上の人から世話をされた政略結婚なので、すでに3人の子がいるが恋愛めいた成り行きよりも同志に近かった。ところがとある事件を機に、祐高の親友が忍を狙い始め、歌を送ってきたり、
ついには夜這いをかけようとしてきた。それを知った祐高がどうしたか、そして忍は何を思ったか。今とはまったく違う婚姻システムを通して、現代にも通用する「結婚て何?」「恋って何?」「人の気持ちを考えるってどういうこと?」という問題を、時にコミカルに、時にシリアスに描いている。
・平安時代の知識がなくてもOK。続きものなので1巻から読んでください。

汀(みぎわ)こるものさんの『探偵は御簾の中』
1巻目の「探偵は御簾の中 検非違使と奥様の平安事件簿」は792円で、
2巻目の「探偵は御簾の中 鳴かぬ螢が身を焦がす」は781円で
講談社タイガからそれぞれ販売中です。
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