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第165回直木賞受賞作 佐藤究『テスカトリポカ』、澤田瞳子『星落ちて、なお』

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第165回直木賞受賞作 佐藤究『テスカトリポカ』
★佐藤究
・佐藤究さんは2004年に純文学の群像新人文学賞を受賞してデビューしたのち、エンタメに転向、2004年に江戸川乱歩賞を受賞。その後、作品数はまだ少ないが出した作品はすべて何らかの文学賞を受賞し、今回の『テスカトリポカ』は山本周五郎賞とのW受賞(史上二人目)。
★内容紹介
・メキシコの麻薬カルテルの帝王バルミロは対立組織との抗争に敗れ、国を出てジャカルタに潜伏する。そこで日本人の臓器ブローカーと出会い、ふたりは臓器ビシネスを始めるため日本の川崎へ行く。彼らは川崎で育った天涯孤独な少年にある才能を見出し、臓器ビジネスに巻き込んでいく──。
・メキシコ、ジャカルタ、日本という国境を越えた舞台と壮大なスケールで読ませる犯罪小説。とにかく暴力シーンが圧巻! だがその果てに希望が垣間見えるのがいい。タイトルの「テスカトリポカ」はアステカ文明の神の名前。生贄の心臓を求めると伝えられる。これを臓器売買、心臓ブローカーに重ね合わせている。

第165回直木賞受賞作 澤田瞳子『星落ちて、なお』
★澤田瞳子
・澤田さんは2010年デビュー、奈良時代を専門として初期は古代小説を中心に描いていたが、近年は江戸から近代も手がけるように。歴史小説の大きな賞は軒並み受賞してきた実力派。今回五度目の候補入りで受賞。
★内容紹介
・明治22年、狩野派の流れを汲む絵師・川鍋暁斎が亡くなった。主人公は彼の長女のとよ。とよは兄と一緒に父から絵を習って、すでに絵師としての仕事もしていたが、時代が明治から大正に移り変わる中、西洋画の流入とともに河鍋派や狩野派の絵はもう古いと言われるようになる。あの父の娘として、絵師として自分はどうすればいいのか。天才を父に持った凡人の娘の苦悩を描く。
・明治になって芸術のあり方が変わる中で、親子だから、家業だから、家族だから逃れられない ことに立ち向かった女性の姿が読みどころ。とよの描写もいいが、周囲の人物が個性的で、さまざまな家族や夫婦の形が描かれる。
まったくタイプの違う2冊、ぜひ両方読んでほしい。
第165回直木賞受賞作 佐藤究『テスカトリポカ』
澤田瞳子『星落ちて、なお』
『テスカポリトカ』はKADOKAWAから2310円で、
『星落ちて、なお』は文藝春秋から1925円で販売中です。
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