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横溝正史『犬神家の一族』

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★内容紹介
・1950年から51年にかけて書かれた、横溝正史の代表作のひとつ。ただし一気に有名になったのは、1976年の映画がきっかけ。
・舞台は昭和20年代の信州。大富豪の犬神佐兵衛が亡くなり、その遺産の行方が注目された。佐兵衛に正妻はおらず、3人のお妾さんが産んだそれぞれ母親の違う娘が3人いて、それぞれが結婚して年頃の子供を持っている。長女・松子の息子、佐清が戦争に行っていたので、その復員を待ってから遺言状が公開されることになった。
・その犬神家の顧問弁護士の事務所に勤める若林弁護士から、名探偵・金田一耕助に「事件が起きそうな気がする」と相談があった。金田一が信州に行くと、若林が殺されてしまう。どうやらこれも犬神家の遺産騒動にかかわりがあるらしい。
・そんな中、佐清が復員してくる。ところが戦争で顔に大怪我を負ったとして、ゴムマスクで顔を隠していた。本当に佐清なのかという疑惑が親族の中に広がる。
・そしていよいよ遺言書が公開されたが、なんと遺産のすべては、佐兵衛の娘や孫たちではなく恩人の孫娘である野々宮珠世という女性に譲られることに。ただし珠世が佐兵衛の孫息子のうち誰かと結婚するという条件がついていた。
・佐兵衛の3人の娘とその息子たちはさっそく珠世の愛を勝ち取ろうと策略を巡らすが、そこからこの孫息子たちを狙ったおそろしい連続殺人事件が起きる。しかもそれは、犬神家の三つの家宝、斧・琴・菊を暗示するような猟奇的な殺人だった。いったい犯人は誰なのか、佐兵衛の遺産はどうなるのか。
★読みどころ)映像化作品と原作の違いを楽しむ
あまりに有名で、映画化・ドラマ化も何度もされているので、原作を読んだことはなくてもストーリーは知っている人も多い。さらに、映像作品を見たことはなくても、佐清にまつわる超有名なふたつの場面は多くの人が知っているはず。ひとつは、真っ白なゴムマスクをかぶった不気味な佐清の映像。もうひとつは湖から足を突き出した死体の映像。ところが犬神家の一族の象徴ともいえるこのふたつの場面は、実は原作と違う。原作ではどうなっているかというと……。
・映画やドラマは基本的には原作通りだが、その2点以外にも、たとえばアイドルが金田一耕助を務める場合はファンの年齢層を考えてか官能的な場面がカットされたりなどドラマも作品によって改変部分が違う。ぜひ原作を読んで、どう変えられているかを確認してほしい。
・映像作品が有名だからこその、原作の楽しみ方ができる一冊。

横溝正史『犬神家の一族』
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