多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

彩坂美月『柘榴パズル』

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★内容紹介
・とても仲の良い家族、山田家の物語。語り手は19歳の美緒。まずプロローグで、美緒は自分の家族がとても好きだと語る。とぼけたおじいちゃん、料理上手で美人のおかあさん、クールだけど本当はとても優しい大学三年生の友広お兄ちゃん、短大生の美緒、10歳の甘えん坊の妹、桃子。そして、猫の龍之介。
・物語は連作仕立てで、この山田家の面々が出会ったさまざまなエピソードが綴られる。第一話は、祭りのオブジェが壊されるという事件が起き、その真相を友広が見抜く。第二話は、友広のバイト先の写真スタジオで、両親に結婚を反対されているカップルが結婚写真を撮ろうとしているとき、その両親が乗り込んでくるというトラブル。第三話は、桃子が子犬を連れ帰ってきて、飼いたいという。ところが玄関先で寝ていたはずの子犬が、いつのまにか人間の赤ちゃんにすり替わっていたという事件。第四話は、家族旅行で行った箱根のホテルで出会ったトラブル、などなど。
・どの事件も犯罪というほどではなく、ほのぼのした結末を迎える明るいミステリだが、実はちょっと不穏な空気がある。各話の間に、新聞や雑誌の記事が挿入される。その記事は、近所でも評判の仲良し一家が、深夜に侵入した何者かによって殺された、というもの。その記事の中には、その家の周囲で怪しい男が見かけられたという記載があり、それぞれの話の中にも、ちょっと怪しい男がちらりと出てくる。これはどういうことなのか?
★読みどころ)物語がどこへ向かうのかのドキドキと最後のサプライズ
それぞれのほのぼのミステリは本当にほのぼので、家族っていいなあと思わせる。ただ、途中に挟まれる一家惨殺事件の記事に加え、ときどきちょっとした違和感がある。その違和感と、新聞記事が、最終話で思いがけない形で結びつく。そして真相がわかったあとでもう一度読み返すと、登場人物のいろんな会話がまったく別の意味に読み取れる。
・そのサプライズを通して、家族って何だろうというテーマを考えさせてくれるミステリ。

彩坂美月『柘榴パズル』
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