多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

下村敦史『ヴィクトリアン・ホテル』

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★内容紹介
・舞台は伝統ある超高級ホテル、ヴィクトリアン・ホテル。創業100年の歴史を誇るが、改築することになり、一旦、全館休業することになった。その最後の日、人気女優の佐倉優美が泊まりにくるとこから物語が始まる。彼女はネットで叩かれたことがきっかけで仕事を離れたくなり、ゆっくりするためにもこのホテルの最後の日に奮発して贅沢な部屋で過ごす予定だった。ところが、ある出来事が起きて……。
・同じように、このホテルにきた五人の人物が登場し、それぞれの視点で物語が進む。失業し、金に困って自暴自棄になり、盗みが目当てでホテルに来た男性。ホテルで開催される文学賞受賞パーティに来た新人作家タレント志望の女性を騙して部屋に連れ込んでいる大企業の宣伝マン。そして、店の経営に行き詰まり、この高級ホテルで心中を計画している夫婦。
・それぞれの出会いや思惑が絡み合い、物語は意外な展開を見せる。
★読みどころ1)面白いように絡んでいく人間模様
たとえば盗み目的で入った男が文学賞のパーティに潜り込んで人気作家に間違われたり、ロビーにいた女優の財布をすったり。また、女性を騙してばかりの宣伝マンが人気女優を見かけて近づこうとしたり、心中を計画している夫婦を見て、こんなホテルに泊まってるんだから大企業の社長夫妻に違いないと思って近づいたり。このなかの誰かと誰かが一緒にエレベータに閉じ込められたり。それぞれエピソードがどうつながっていくのか、その先に何があるのかとても楽しい。特に、相手の事情など何も知らない者同士の出会いが意外な化学反応を呼ぶのが読みどころ。
★読みどころ2)実は壮大なトリックが仕掛けられている
こればかりは何を言ってもネタバレになるので何も言わないが、もしかしたら読んでいるうちに、時々「あれ? 作者のミスじゃないかな?」と思う部分があるかもしれない。でも最後まで読むと、「そういうことだったのかーーー!」とめちゃくちゃスッキリする。同時に、なぜホテルが舞台なのかという本当の理由がわかる。
・具体的には言えないが、エイプリルフールの今日紹介するのにぴったりな一冊。

下村敦史『ヴィクトリアン・ホテル』
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