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真山仁『それでも、陽は昇る』

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★内容紹介
・今日で東日本大震災から10年。真山仁さんは阪神淡路大震災のとき神戸在住で被災、その後、東日本大震災が起きたときに「阪神淡路の経験者だからこそ書かねばならない」という思いで、東北の被災地の小学校を舞台にした小説を書き始めた。そのシリーズの三冊目がこの物語で、「震災三部作」の完結篇となる。
・主人公は神戸の小学校教師、小野寺先生。神戸の震災で妻子を亡くしている。彼は3・11のあと、被災地への応援教師として海辺のある小学校に赴任する。彼がそこで出会った人々、直面した問題、自分自身の変化などを通して復興とは何かを描いたシリーズ。
・一冊目は『そして、星の輝く夜がくる』2014年刊。震災から2ヶ月後の5月に小野寺先生が赴任してから3月までの10ヶ月が描かれる。小野寺先生が担任した6年生のクラスを中心に、親に心配をかけないよう不安を押し込めて頑張りすぎる子どもたちや、生徒を助けられなかった教師のトラウマ、災害ボランティアとのずれなど、震災直後のいろいろな問題点が綴られる。
・二冊目は『海は見えるか』2016年刊行。震災から1年が経った2012年の物語。1年経つと別の問題が浮上してくる。住民の中にも意識のずれが出てきたり、行政主導の復興計画に住民の希望がなおざりにされたり、世間から忘れられることを心配したり。
・そして先月出たばかりの最新作は、震災3年目の2013年春から、今年2021年4月まで。小野寺先生は東北での応援教師の任期を終え、神戸に戻る。東北でいろいろな経験をし、あらためて自分が体験した神戸の震災を語り継ぐ決意をするが、阪神大震災から25年後の2020年、震災を知らない世代が増えていてどうも手応えを感じられない。そんなとき、25年経ってもまだ解決されてない問題があることを知り……。
★読みどころ)何を語り継ぐべきかというメッセージ。
この三冊を続けて読むと、とにかく目の前の問題にがむしゃらに立ち向かう1年目、少し余裕ができて行政の問題点を考え始める2年目というふうに、被災地やそこに住む人々の意識の変化を描いている。それを十年一日のように「震災を忘れないで」と言い続けるのではなく、
震災の何を忘れないべきなのかを考えさせてくれる。

・東日本大震災のあとも、熊本の地震や各地の豪雨災害など、自然災害が相次いでいる。被災地の人が、そして被災地以外の人が、未来に向けて何ができるかを語りかける一冊。

真山仁『それでも、陽は昇る』
祥伝社から税込1650円で販売中です。
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