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スーザン・リンデル『危険な友情』

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★内容紹介
・舞台は1924年のニューヨーク。孤児院で育ったローズ・ベイカーは警察署でタイピストとして働き、地味ながら規律正しい生活を送っていた。そんなある日、新人タイピストとしてオダリー・ラザールが採用される。流行の最先端を行く断髪に派手な立ち居振る舞い、裕福そうな持ち物。およそタイピストらしからぬオダリーに、ローズはどんどん惹かれていく。
・オダリーは自分が泊まっている豪奢なホテルにローズを連れて行き、一緒に暮らそうと持ちかける。贅沢な食事や衣服、退廃的なもぐりの酒場、親しげな男性たち。きらびやかな暮らしをともに送るうちにローズはオダリーの嘘や怪しげな振る舞いに気づくようになる。だがその頃にはローズはすっかりオダリーに傾倒していて、怪しげな部分は無意識に考えの外に置いてしまう。
★読みどころ1)思わせぶりな語り口調
この物語はローズの回想という形で綴られる。なので「今となってはおかしいとわかるが当時は気づけなかった」といった言葉が何度も出て来て、読者の疑惑と期待を誘う。さらにこの時点でローズは、どういうわけか医師のカウンセリング下にあるらしい。これから何かとんでもないことが起きると予想され、何が起きるのかを知りたくてぐいぐい読まされる。
★読みどころ2)対照的な女性二人の関係
オダリーは明らかに怪しくて、なぜ贅沢ができるのか、お金はあるのになぜタイピストという仕事をしているのか、そしてなぜローズに近づいたのかなど、謎がいっぱい。その謎に少しずつヒントが出され、謎解きの面白さがある。一方ローズは、オダリーは変だと心の底ではわかっていながら離れられない。なぜなら孤児院育ちで、これまで誰もローズのことを好きとか友達とかと言ってくれる人がいなかった。たとえ騙されているとしても、初めてできた友達を話したくないという気持ちが透けて見えて、とても切ない。
★読みどころ3)急転直下のクライマックス
最終的に物語はとんでもない結末を迎える。でも実は伏線はたくさん貼られていた。とびきりのサプライズと、欠けたピースが次々と埋まる快感は絶品。
・1920年代のニューヨークの雰囲気も味わえる、おしゃれでスリリングなサスペンス。

スーザン・リンデルの『危険な友情』
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