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司馬遼太郎『国盗り物語』

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★内容紹介
・『国盗り物語』は司馬遼太郎の戦国小説の代表作で、1963年から1966年にかけて執筆。斎藤道三編と織田信長編にわかれており、斎藤道三編では京にいた松波庄九郎という青年が天下を目指して、知略の限りを尽くして美濃一国をわがものにする様子を描いている。なぜ美濃だったかというと、京に近いこと、田畑が肥沃なこと、東西の交通の要衝であることなど。敵も多く一度は失脚するが、織田信秀との戦いや水害復興で活躍し、守護代・斎藤氏の名を継ぐ。守護代になってからは古い勢力を一掃して城下に楽市楽座を作って経済を盛り上げ、守護の土岐頼芸を追放し、ついには戦国大名にまでなりあがる、下克上の代名詞となった。
・織田信長編では、道三の娘との縁談に始まり、本能寺までが描かれるが、明智光秀ももうひとりの主人公で、このふたりの関係を中心に物語が進む。

★読みどころ1)50年前の研究に基づいた傑作
最近の小説を読んでいる人や大河ドラマを見ている人、歴史に詳しい人が『国盗り物語』を読むと今わかっている史実とは違っている点がいくつかある。何が違うかを確認するだけでも興味深い。その上で、たとえ研究は古くても、今の私たちが持っている道三、信長、光秀、その他の有名武将たちのイメージは、この時点で司馬遼太郎が作り上げた人物描写がもとになっていることがわかる。なので、史実は違っていても、読んでいてまったく違和感がない。

★読みどころ2)50年経っても古びない魅力
誤解されやすいが司馬遼太郎の作品はあくまでフィクションでありエンターテインメント。文章の切れ味はいいし、複雑な人間関係もとてもわかりやすい。特に、下克上で世の中を変えようとした道三から見て、信長と光秀はともに弟子のような存在であり、そのふたりが本能寺で激突することで、戦国時代は次のフェーズに入るという流れがよくわかる。

・ぜひこの時期に読んでほしい一冊であり、これを踏まえて今の歴史小説に手を伸ばしてほしい。

司馬遼太郎『国盗り物語』です。
新潮文庫から1巻から3巻までは税込880円、4巻は税込1100円で販売中です。
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