多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

横関大『K2池袋署刑事課 神崎・黒木』『帰ってきたK2』

[この番組の画像一覧を見る]

★内容紹介
・9月からCBCで放送中の刑事ドラマ「キワドい2人」の原作小説。東京の池袋を舞台に、ふたりの刑事、神崎と黒木が事件を解決するバディものの警察小説。ドラマでは真面目な優等生・神崎をジャニーズの山田涼介さんが、チャラチャラしているけどどこか捉え所のない黒木を田中圭さんが演じている。
・原作小説が出たのは2014年と少し前だが、昨年文庫になり、ドラマの放送に併せて9月に続編の『帰ってきたK2』が刊行された。
・原作は、個性の違うふたりの刑事がバディとしてさまざまな事件に向かう連作短編集。ふたりは警察学校の同期で、それぞれ別の場所で警官として働いたのち、池袋署で数年ぶりに再会する。優等生の神崎とチャラチャラした黒木、一見タイプの違うふたりが実は固い信頼で結ばれているのが読みどころ。さらに黒木にはある秘密があり、それが最終話で明らかになる。
・というと、ドラマを見ている人は「あれ?」と思うかも。ドラマでは神崎は真面目な新米刑事で、バディを組むことになった黒木がチャラ男なのでいらいらするという設定に変わっている。その中で、黒木の本心に少しずつ触れることで神崎が刑事として成長していく姿を描くというもので、ふたりの設定が原作とはまったく違う。さらにドラマでは、神崎と黒木が異母兄弟というオリジナルの設定が加えられている。
・実はこのドラマ、原作の改変の仕方がとても面白い。ドラマの第一話は黒木が誘拐事件に巻き込まれるという話だったが、これは原作の第五話がもと。第二話はサルを飼っていた美容院の社長が殺される話で、これは原作第一話がもとになっている。ところがいずれも、途中までは原作通りに話が進むが、途中から原作を大きく外れて、別の展開、別の真相、別の犯人が用意されていた。原作を読んでいてもオチがわからない。
・じゃあ完全に原作を無視したドラマなのかな?と思うと、実はそうではない。ふたりが異母兄弟というドラマオリジナルの設定について、ドラマでは今、少しずつふたりの過去がほのめかされ始めたところ。一方、その過去に該当するのではないかと思われる話が原作の第七話に登場する。それを読むと、もしかしたらドラマは、この原作の設定からさらに一歩踏み込んで「異母兄弟」という設定にしたのでは、と予想できる。
・原作とドラマは展開が違うので先に原作を読んでもドラマのネタバラシにはならない。さらに原作を読むことでドラマオリジナル設定の裏側を推理できる。ぜひ、ドラマが終わる前に原作を読んでほしい。

横関大『K2池袋署刑事課 神崎・黒木』と
『帰ってきたK2』です。
『K2池袋署刑事課 神崎・黒木』は講談社文庫から税込748円で。
『帰ってきたK2』は講談社から税込1705円で販売中です。
関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報