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レスリー・カラ『噂 殺人者のひそむ町』

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★内容紹介
・主人公は小学生の息子を持つシングルマザーのジョアンナ。ある日、ママ友から「この町に昔の事件の殺人犯が住んでいるらしい」という噂を聞く。それは1960年代に起きた事件で、当時10歳だったサリーという少女が、5歳の少年をナイフで刺し殺した。50年以上経った今でも皆が知っている、犯罪史に残る有名な事件の犯人が、名前や身元を変えてこの町に暮らしているという。
・根拠のない無責任な噂話なので、その場ではジョアンナはスルーした。ところがその夜、趣味のサークルに出たとき、若い参加者がおばちゃんたちからプライベートを詮索されて困っている場面に出会した。話題を変えようとしてジョアンナはその「噂」を話してしまう。
・そこから噂は一気に町に広がり、「サリーは誰だ」「あの人がサリーじゃないか」とエスカレートする一方。ジョアンナはそんな噂は信じないと思いつつ、息子を預けるこの人がサリーだったら、とか、親しいご近所さんがサリーだったら、などと考えて、どんどん疑心暗鬼になっていく。
・同時に、サリーだと疑われた人が町の人から差別されたり攻撃されたりという事件が起きる。本人が否定しても噂は広がる一方。その最初の責任が自分にあるということでジョアンナは罪悪感と自己嫌悪に苛まれる。
・すると今度はジョアンナの周囲で不穏な出来事が相次ぐようになり……。果たしてサリーは本当にこの町にいるのか? いるとしたら誰なのか?
★読みどころ1)決して他人事ではない
誰でも悪気なく人の噂をすることはあるが、それが思わぬ事態を呼ぶ。何か起きたとき、言い出したのは自分じゃないと言い訳したくなるが、広めた人も言い出した人と同じだけの責任がある。
★読みどころ2)真相のサプライズ
いかにも怪しい人もいるし、いい人なのが逆に怪しい人もいて、誰がサリーなのか読者にも考えさせる構成。でもこの真相は絶対わからない!そして真相がわかったあとで、なぜ50年も前の事件がなぜいまだに噂になるのかの原因を炙り出す。それが最大の読みどころ。
・他人事ではないスリルとサスペンスが味わえる一冊。

レスリー・カラ『噂 殺人者のひそむ町』
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