多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

池井戸潤「半沢直樹」シリーズ

[この番組の画像一覧を見る]

★内容紹介
・小説は現時点で4巻まで出ており、第一作は2004年に出た『オレたちバブル入行組』、第二作は2008年の『オレたち花のバブル組』、現在のドラマの原作である第三作『ロスジェネの逆襲』は2012年刊行、そしてまだドラマにはなっていない第四作が2014年刊行の『銀翼のイカロス』。なお、今年9月には第五段『アルルカンと道化師』が刊行予定。
・第2巻までは、東京中央銀行のバンカーである半沢直樹が、悪どい融資先や上司の陰謀と戦う金融サスペンス。悪者に報復する痛快さが醍醐味。ただしちょっとやりすぎたため、第3巻では半沢傘下の証券会社に出向させられている。そこであるIT企業の買収に絡んで、親会社である銀行と戦うことになる──というのが今回のドラマ。そして第4巻では政治家を相手にした戦いに挑むことになる。
★原作の読みどころ
ドラマは人物設定などに細かい違いはあるが、基本的に原作通り。ただし、ドラマの「半沢直樹」が放送されたのは原作が出てから10年近く後。これが実はミソ。原作のテーマがドラマではカットされている。そのテーマは「世代間の対立」。
・原作第一作の『オレたちバブル入行組』は、バブル後期の1988年に就職活動をする大学生の半沢直樹が描かれる(ドラマでは放送年に合わせて彼の就職は90年代)。これが今からは想像もできないバブリーな就活。だがこの世代は、就職してまもなくバブル崩壊ではしごをはずされる。その原因は団塊の世代にあり、自分たちは団塊の世代の尻拭いをさせられている、というのが第1巻と2巻の半沢直樹の主張だった。
・ところが第3巻になって、バブル崩壊後の就職氷河期に就活をしたロスジェネ世代が半沢の部下になる。このロスジェネ世代の青年は半沢たちバブル世代に対し、好景気というだけでろくに仕事もできない人が大量に採用され、自分たちがその尻拭いをしている、と考える。
・このシリーズは世代間の対立を描くことで、逆に世代にラベルを貼ることがいかに
 意味がないかを描いている。どの世代の人が読んでも楽しめる名作シリーズ。

池井戸潤「半沢直樹」シリーズ
文春文庫から3巻の「ロスジェネの逆襲」までは770円、
4巻の『銀翼‘ぎんよく』のイカロス』は836円で販売中です。
関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報