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辻真先『たかが殺人じゃないか』

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★内容紹介
・名古屋が舞台のミステリ。サブタイトルは「昭和24年の推理小説」
・舞台は昭和24年の名古屋。この年から始まった学制改革(6・3・3・4年制)で新制の高校三年生になった青年が主人公。サークルの男女五人と顧問の教師で修学旅行がわりに湯谷温泉に出かけるが、そこで殺人事件に遭遇する、という物語。
・辻真先さんは1932年、名古屋生まれ。現在88歳で、昭和24年には登場人物と同じ17歳。これまでの自分の体験をもとにされた、戦時中や戦後の名古屋を舞台にした青春ミステリ小説を多く書いている。ミステリ作家としても大御所だが、アニメの脚本家としてテレビアニメ黎明期から活躍しており、鉄腕アトム、のらくろ、サザエさん、ジャングル大帝、タイガーマスク、アタックNo.1、近年では名探偵コナンまで、膨大な数の人気アニメに携わったレジェンドでもある。小説家としても多くの人気シリーズを出しているが、名古屋の戦中戦後をミステリというエンターエインメントの中で描くこともライフワークの一つ。
★読みどころ1)昭和24年の名古屋の様子と当時の高校生の生活
登場する高校生たちにとって初めての男女共学だったこと、旧制中学は17歳で卒業なので、学制改革で大学に入るには一年足りず、一年限りの高校三年生が誕生したこと、新しい制度に教師も馴染めず混乱があったことなど、昭和24年の学校のリアルがつぶさに描かれる。流行っていた映画や流行歌なども登場。さらに、当時の名古屋がどんな風景でどんな文化だったかが随所で紹介される。
★読みどころ2)ミステリとしての遊び心とサプライズ
そんな昭和24年の名古屋の光景の中に、実は伏線が仕込まれている。この時代でしか成立しない事件であり、動機だったことが、最後にわかる。この時代ならではの社会と、時代が違っても変わらない青春の痛みの両方が味わえる。
・この地方の人にぜひ読んでいただきたい作品。

辻真先(つじ・まさき)さんの『たかが殺人じゃないか』です。
東京創元社から2420円で販売中です。
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