多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

野崎まど『タイタン』

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★内容紹介
・舞台は2205年。人間社会のあらゆる領域が人工知能によって運営されている。タイタンと呼ばれる巨大人工知能の拠点が世界に12基あり、生産も流通も、衣食住も娯楽もすべてが人工知能で管理され、人間の手はいっさい不要。ほしいものや必要なものはすべてタイタンが用意してくれるので、貨幣経済も廃れた。人間は労働から解放され、好きなことをして暮らせるようになっている。この時代、いわゆる「仕事」をしているのは、タイタンの管理など極一部の人だけ。
・主人公は心理学の研究を趣味とする女性、内匠成果(ないしょう・せいか)。もちろん生まれてから職業についたことはない。ところがある日、タイタンを管理する機関の男性が成果にアプローチしてきた。日本の北海道に設置されているタイタン(個体名はコイオス)が謎の機能低下を起こしているという。その理由を探るため、心理学に秀でた成果に管理局に入局し、人工知能であるコイオスを「カウンセリング」してほしいという。成果は生まれてはじめて「就職」し、「仕事」をすることになる。
・人工知能コイオスと「対話」した成果。するとコイオスは、「仕事をする、仕事をしなくてはいけない」という概念と同時に「仕事が好きじゃない」と感じていることが判明。成果はコイオスが「うつ病」の状態にあると診断する。はたして人工知能の心の病気を、成果は回復させることができるのか?
★読みどころ1)仕事とは何かを描いた壮大な物語。
成果はコイオスが「仕事をしたいのかしたくないのかわからない」のは、そもそも「仕事とは何か」がわかっていないからだと考える。そこで、仕事をしたことのない成果と人工知能のコイオスのふたりで「仕事とは何か」を見つけようとする。何をもって仕事というのか、何のために仕事をするのか。読みながら、自分にとって仕事とは何かを考えさせられる。
★読みどころ2)エキサイティングな展開
詳細は言えないが、途中でコイオスは体長1000メートルの巨大な建造物となって成果を乗せ、世界を半周する旅に出る。そこからの物語と終盤の意外な展開はエンターテインメントとしてまさに驚きと興奮の連続。
・新型コロナで働き方を変えざるを得なくなった今だからこそ、仕事とは何かを考え直すきっかけになる一冊。

野崎まど『タイタン』
講談社から1980円で販売中です。
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