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ルーシー・モンゴメリ『青い城』

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★内容紹介
・『赤毛のアン』で知られるモンゴメリの大人向けの名作。1924年の作品。
・主人公は29歳の独身女性、ヴァランシー。彼女は気が弱く、見た目もさえず、やせっぽちで病弱で、家族や親戚から軽んじられて生きてきた。母親はヴァランシーのすべてを思い通りに管理しようとし、親戚は彼女をオールドミスと馬鹿にする。 何かやろうとしても周囲から「どうせお前にはむりだ」と言われ、逆らう気力もなく、結局、母親の機嫌をとりながら生活する日々。
・ところがある日、転機が訪れる。心臓に痛みを感じたヴァランシーは病院で検査を受ける。後日、検査結果の手紙が届く。そこには、心臓に重篤な欠陥があり、余命はあと一年と書かれていた。
・これで抑圧されていたヴァランシーのタガがはずれる。一年しか生きられないなら親の顔色を見ておとなしくしている意味はない。やりたいことをやる!
★読みどころ1)タガのはずれたヴァランシーの変化がめちゃくちゃ面白い!
これまで何を言われても反論しなかったのに、親戚の皮肉に痛烈に切り返す。それだけで親戚は大混乱。ヴァランシーは親の庇護を離れ、家を出て、住み込みの家政婦になる。自分で稼いで、欲しい服を買う。挙げ句の果てに、恋も知らずに死ぬのは嫌だと、ある人物に事情を話して、1年だけだから結婚してくれと頼む。どんどん変わっていくヴァランシーが実に痛快。序盤の抑圧された生活の描写はとても辛いが、辛い分、ブチ切れてからのヴァランシーが気持ちいい。
★読みどころ2)96年前の小説だが、現代にも通じるテーマ
抑圧されたり、「どうせ私なんか」と思ってしまったり、若い女性はこうすべきという親や世間の重圧があったりというのは、100年近く経った今でも同じ。そういう人に、思い切って一歩飛び出せば人生変わるかもよ?と勇気を与えてくれる。
★読みどころ3)意外な展開
ヴァランシーが彼女の最後の一年を生まれ変わって過ごしてめでたし……とは実はならない。意外な展開が待っていて、けれど実は序盤にその伏線がある。ミステリとしても秀逸な作品。
・『赤毛のアン』だけではない、痛快で切実なモンゴメリの名作です。
ルーシー・モンゴメリ『青い城』
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