多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

本屋大賞受賞作、凪良ゆうさんの『流浪の月』

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★内容紹介
・主人公は二十代の女性、更紗。彼女は9歳の時、大学生の青年・佐伯文に誘拐され2ヶ月間監禁されていた──ということになっていた。けれど実際は、父を亡くし母に捨てられた更紗が引き取られた親戚の家で居場所がなく、その家の息子から性的ないたずらを受けていた更紗が逃げ出し、それを救ってくれたのが文だった。けれど2ヶ月後に保護された9歳の更紗はうまく説明できず、警察もマスコミも「ロリコンの青年が少女を拐かした」と思い、更紗がいくら「文は自分に何もしなかった」と訴えても、それは恐怖がそう言わせているのか、あるいはショックで何もなかったと信じたいのだろうと思われた。その後、更紗は施設に入り、文は逮捕されて刑務所に入ることに。
・それから時が経ち、二十代になった更紗は文と再会する。自分がうまく説明できなかったせいで、助けてくれた文を犯罪者にしてしまったことに後悔していた更紗は、あらためて文と新しい関係を築こうとするが、加害者と被害者の交流は周囲に理解されず……。
★読みどころ)生きづらさの描写
凪良さんのBLの著作にも共通するテーマで、当人の気持ちや真実をおきざりにして、周囲が勝手に評価し、わかりやすいストーリーに落とし込み、それを信じてしまうということの危うさと残酷さを描いている。あなたの「普通」は私の「普通」ではない、私の幸せを他人が決めるな、というメッセージ。
・今年は時節柄、本屋大賞の発表式が中止になってネット配信で発表されたり、発表当日に7都府県で緊急事態宣言が出て臨時休業になった書店もある。できれは本屋さんで買って欲しいが、今は家にいながら電子書籍で買って読めるのでぜひ、この機会に読んでほしい。

本屋大賞受賞作、凪良(なぎら)ゆうさんの『流浪の月』です。
東京創元社から1650円で販売中です。
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