多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

ジェイムズ・ホーガン『星を継ぐもの』

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★内容紹介
・書かれたのは1977年。日本に紹介されたのは1980年で、以来ずっと読み継がれている、SFの里程標的な作品。と同時に、スケールの大きな謎解きミステリでもあり、SFファンとミステリファンの両方から熱烈な支持を受けた作品でもある。
・時は2027年。人類は宇宙に進出し、月の調査を行っていた。ある時、月面で真紅の宇宙服を着た人間の死体が発見される。だがどこの国に照会しても該当者がいない。それもそのはず、放射性炭素による年代測定の結果、この死体は五万年前のものと判明したのだ。五万年前といえば、人類の歴史の中で、ネアンデルタール人からホモ・サピエンスに変わってきた頃。月に来る科学力があったはずはない。これはいったいどういうことか?
・この五万年前の死体はチャーリーと名づけられ、生物学者や物理学者が調査に当たる。チャーリーの持ち物に、現在の科学をもってしても作れない超小型の原子力バッテリーが見つかるが、これもまた組織を調べると五万年前のものと判明。さらにチャーリーが携帯食料として持っていたと思われる魚のようなものは明らかに地球には存在しない生き物だった。
・矛盾だらけのこの謎を解く方法はあるのか? 科学者たちはある仮説を立てた。それは太陽系の歴史も、人類の起源も大きく塗り替えるものだった……。

★読みどころ1)スケールの大きな謎 
本格SFにして、発売当時「五万年のアリバイ崩し」と呼ばれたくらいの論理的な謎解きが堪能できる。こんなありえない話に、ちゃんと理屈がつけられる面白さ!

★読みどころ2)解かれる謎はひとつじゃない
チャーリーの正体はもちろんフィクションだが、その謎を解く過程で、太陽系や人類の進化の中で謎とされてきたことに、「そう考えれば成立する」という回答が与えられる。作り話ではあるが、筋の通った「答え」にワクワクする。

・事件の謎を解くミステリと、世界の謎を解くSFの、両方の面白さが詰まった作品。話は一冊で終わらず、シリーズが続くので合わせてどうぞ。

ジェイムズ・ホーガン『星を継ぐもの』
創元SF文庫から770円で販売中です。
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