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近藤史恵『歌舞伎座の怪紳士』

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★内容紹介
・二十七歳の岩居久澄(くすみ)は現在無職で、母親と同居中。将来に不安を感じていたとき、祖母からバイトを持ちかけられる。付き合いでお芝居の切符をもらう機会が多いが、足が悪いため出歩けないので義理のある芝居だけでも、代わりに久澄に見に行ってほしいというのだ。
・最初のお芝居は歌舞伎。生まれて初めての歌舞伎で初めは緊張していたが、意外なほど楽しめた。ところが、休憩中の客席で奇妙なできごとを目撃する。少し前の座席に、その席の人ではない女性がやってきて、席に置いてあった鞄からペットボトルを取り出した。そして自分のペットボトルとすり替えたのだ。驚いた久澄に隣席の老紳士が「何かあったのか」と問いかけ、見たものを話たところ……。
・という感じで、久澄が祖母の代わりにあちこちの劇場に歌舞伎やお芝居を見に行き、そこで起きた事件や謎を、なぜかいつも出くわす老紳士が解決するというミステリ。

★読みどころ1)歌舞伎の入門書として最適
久澄が見るさまざまな歌舞伎「摂州合邦辻」「京鹿子娘道成寺」「勧進帳」などのストーリーが作中で自然に説明され、歌舞伎に馴染みのない読者にも魅力が伝わる。
★読みどころ2)久澄の成長物語 
演目の粗筋と久澄が抱える問題が絶妙にシンクロし、久澄の考えが少しずつ変わっていく。次第に歌舞伎が好きになり「自分のお金で歌舞伎が見たい」と思うようになり、それが働く意欲に変わる。何か好きなものができると、人生が楽しくなるのが伝わる。
★読みどころ3)ミステリとしての面白さ
いろんな事件の謎解きもさることながら、この老紳士はいったい誰なのか。なぜしょっちゅう劇場で会うのか。真相が分かったとき、暖かい気持ちになれるミステリ。

歌舞伎だけでなく、自分の好きなものを大事にしたいと思わせてくれる一冊。

近藤史恵『歌舞伎座の怪紳士』
徳間書店から1760円で販売中です。
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