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古内一絵『鐘を鳴らす子供たち』

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★内容紹介
・昭和22年、ラジオドラマに出ることになった少年たちの物語。
・モデルになった史実がある。昭和22年からNHKで放送が始まったラジオドラマ「鐘の鳴る丘」。劇作家の菊田一夫さんが脚本。戦争孤児たちが復員兵と知り合い、やがて共同生活を始めるという物語。ちまたに戦争孤児たちがあふれ、日本がまだ貧しかった時代、大人子供を問わず大きな共感を読んで大ヒットとなった。
・このラジオドラマは、戦争孤児たちの役で実際の小学生が出演した。児童劇団などない時代、演劇が盛んだった練馬区の小学校の生徒たちが紹介され、10人程度の児童たちが毎週末、NHKの放送会館へ通って生放送に出演した。
・この小説は、その史実を元に、作者の古内さんが当時の関係者に取材した上で、フィクションのエピソードを加え、登場人物の名前も変えて、物語にしたもの。
・主人公は小学校6年生の少年、よっちゃん。ある日、学校の先生から突然、ラジオドラマに出てみないかと誘われる。同級生たちと訪れたNHKはGHQの監視下の中、戦災孤児を励ますラジオドラマ「鐘の鳴る丘」に挑戦するが……。
★読みどころ1)子供たちの描写
子供たちの造形は創作。戦後のもの不足の中、環境も生活レベルも性格も違う子供たちがひとつのドラマを作り上げていく成長の様子が読ませる。それと対比するかのように、実際の戦災孤児たちの描写が圧巻。戦災孤児を励まそうと作ったドラマが、東野戦災孤児によって綺麗ごとだと批判される。
★読みどころ2)戦争の影響
主人公たちも戦災孤児も、大人に振り回された被害者。ドラマを作った大人たちは、戦争を押し進めた側。翻弄された子供と、痛みと責任を感じる大人たちが、それでも、少しでもいい未来を作ろうとする物語。その物語を通して、今は子供を被害者にしてないかと問いかけてくる。
・中学生くらいから読める物語。幅広い年代の人におすすめ。

古内一絵『鐘を鳴らす子供たち』
小峰書店から1760円で販売中です。

 
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