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アンソニー・ホロヴィッツ『メインテーマは殺人』

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★内容紹介
舞台はイギリス。ある日、資産家の老婦人が葬儀社を訪れ、自分の葬儀の手配を頼む。たまにそういう人はいるので葬儀社は快く引き受け、いざというときのための段取りを老婦人と相談。でも、いざというときのためだったはずが、その数時間後、老婦人は自宅で何者かに殺されてしまう。これは偶然なのか?
容疑者として浮かんだのは、老婦人の過去にかかわりがあった人物。実はこの老婦人、十年前に車を運転していて事故を起こしていた。道路に飛び出した双子の少年を撥ねたまま逃走、ひとりは死亡、もうひとりは一生介護が必要な重度の障害が残った。なのにその後自首した老婦人に過失なしということで放免された。少年たちの家族はずっと老婦人を憎んでいたはず。だがアリバイがあって……。
★読みどころ1)語り手が著者自身。
作中に「作家のアンソニー・ホロヴィッツ」が登場。この事件の捜査を担当するのはダニエル・ホーソーンという人物。彼がホロヴィッツのもとを訪ね、この事件の捜査の様子を小説にしてほしいと依頼する。そこでホロヴィッツがホーソーンについてまわって記録する、それがこの本という体裁。作中のホロヴィッツは、現実のホロヴィッツそのままで、彼が手がけた小説や、脚本を担当したドラマなどのリアルな話がどんどん出て来る。その虚実入り混じった感じがすごく楽しい。
★読みどころ2)徹底したフェアプレイ。
決して大掛かりな仕掛けがあるミステリではなく、ヒントをひろっていけば読者も真相に到達できる正統派の謎解きミステリ。そのヒントの出し方、隠し方が徹底してフェア。なのに騙される。あとで読むと、すごくあからさまに書いてあるのにそれがヒントだと読者は気づけない。気づけばホーソーンより先に真相に到達できるかも。

探偵に挑戦する知的パズルが楽しめる一冊。

アンソニー・ホロヴィッツの『メインテーマは殺人』
創元推理文庫から1210円で販売中です。

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