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泉ゆたか『お江戸けもの医 毛玉堂』

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★内容紹介
・舞台は江戸時代中期。動物専門の養生所(病院)「毛玉堂」は、医者の凌雲と妻のお美津のふたりで切り盛りしている。凌雲は患畜の怪我や病気の原因が何なのかを推理し、飼い主の問題まで解決するという連作のミステリ。
・たとえば、第一話では凌雲とお美津が善次という少年を預かることに。ところが善次がやってきた日から、なぜか毛玉堂に幽霊が出るように。なぜ?第二話では見世物小屋に出ていた数を数えられる馬が、突然、計算ができなくなる。他にも、絵師が飼っていたウサギがいきなりハゲ始めた理由や、とつぜん飼い主を襲うようになった飼い猫の謎など。
★読みどころ1)動物ミステリとしての面白さ。
どの話も、動物の生態が謎解きにかかわってくる。決して専門的ではなく、読者も推理できるヒントがちゃんとある。
★読みどころ2)動物との向き合い方
動物を飼うときに大事なことは何か、動物が弱ったり死んだりしたとき、人はどうすればいいのかが凌雲の言葉を通して冷静に語られる。愛情とか絆といった口当たりのいい言葉でペットを描くのではなく、動物を飼う責任とは何かを物語の中に込めている。
★読みどころ3)全体を通したミステリ
凌雲は実は以前は人間相手の小石川療養所の名医だった。それがなぜ獣医になったのか。第一話で夫婦が預かることになった少年、善次の正体は何なのか。全体を通して少しずつ伏線が仕掛けられ、最後に明かされるドラマがいい。

動物だけではなく、読者も癒してくれるミステリ。

泉ゆたか『お江戸けもの医 毛玉堂』
講談社から1595円で販売中です。
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