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大友信彦『釜石の夢 被災地でワールドカップを』

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★内容紹介
ワールドカップは国内12箇所のスタジアムで開催されるが、その中で唯一、新設のスタジアムがある。岩手県釜石市の釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアム。
ワールドカップの誘致には当初15都市が立候補。主催者のワールドラグビーの実行委員が各地を視察して12都市を選んだ。だが視察の段階で、釜石だけは まだスタジアムがなかった。視察は2015年1月。2011年の東日本大震災で、釜石は津波で壊滅的な被害を受け、まだ復興途中にあったから。
本書は、東日本大震災直後の釜石の様子に始まり、瓦礫の中からラグビーの町・釜石でW杯をやろうという声がどのように出てきたのか、それを実現するまでに何があったのかを綴ったノンフィクション。
★読みどころ1)W杯誘致への道のり
1章と2章は、新日鉄釜石V7時代のOBが震災直後から支援に動き出す様子と、現在はクラブチームになっている旧新日鉄釜石、現釜石シーウェイブスの様子が綴られる。3章で、関係者の中から「釜石でW杯を」という声が出る。わずか震災後2ヶ月。行方不明者の捜索は続いており、仮設住宅さえできていない。夢物語だと誰もが思ったし、そんなことをしてる場合かという反対意見もあった。だが、明るい話題と将来の展望が、俯いていた人々を少しずつ動かしていく。
★読みどころ2)新スタジアムに込められた思い
スタジアムの候補地になったのは、住民500人以上が犠牲になった鵜住居地区の小中学校跡地。そこはとっさの判断で避難し全校生徒全員が助かった「釜石の奇跡」の地。釜石市長はそこに、身の丈にあったコンパクトなスタジアムを作り、のちの防災拠点にすると発表。そして更地だったその場所に使節団がやってくる……。
これを読むと釜石での試合を見る目が変わるはず。W杯前にぜひ読んでほしい1冊。
大友信彦『釜石の夢 被災地でワールドカップを』
講談社文庫から702円で販売中です。

 
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