あさのあつこ『バッテリー』シリーズ全六巻

多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N / カルチャー
★あさのあつこさん
あさのあつこさんは1991年に児童文学作家としてデビュー。1996年に刊行された『バッテリー』で野間児童文芸賞を受賞し、その後、六巻まで続いたシリーズで子供だけではなく一般からも高い評価を受ける。その後は、児童小説と並行して一般向けの小説を多く手がけるようになり、現在は押しも押されもせぬ人気作家。
★内容紹介
『バッテリー』は少年野球のピッチャー、原田巧が主人公。彼の中学入学を機に、家族で岡山に引っ越してくる。そこで巧は、キャッチャーをやっている永倉豪という少年に出会い互いの実力を認めてバッテリーを組むことに。その後、六巻を通してふたりの中学野球部での生活が描かれる。
★読みどころ1)キャラクターの魅力
巧は誰もが認める天才投手。その才能を自覚し、絶対の自信を持っている。人と馴れ合うのが嫌いで、根本的に「チーム」に興味がない。少しでも早く強い球を投げ、バッターとの勝負に勝つことだけを目指す。野球ってそういうものだと思っている。試合に負けてもピッチャーとして勝っていれば気にしない。豪はそんな巧を心配したり、憧れたりしつつ、よき女房役でありたいと思っている。
★読みどころ2)友情小説でも成長小説でも野球小説でもない
傲慢で俺様な天才投手が主人公というと、そんな少年が野球を通して友情やチームワークを学び、成長して行く話と思いがちだが、巧はまったく成長しない。また、野球部の話でありながら、全六巻の中に公式戦は一度も登場せず、部内の紅白戦が1回と練習試合の描写が2回あるだけ。ではこれは何の小説かというと、「人は簡単にはかわらないが、関係性は変わっていく」という話。12歳、13歳という子供が「どうしてわかってくれないんだ!」と周囲とぶつかる中で、周囲は「どうすればいいんだろう」と考える。人間ではなく「関係性」が成長する。その関係性の変化の中で、人間も、部分的に少し変わったりする。
児童文学としてはとても珍しい手法だが、より現実社会に近く、大人をも熱中させる作品。
あさのあつこさんの『バッテリー』シリーズ全六巻
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