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第161回直木賞受賞作 大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓魂結び』

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今回の第161回直木賞は、大島真寿美さんの『渦 妹背山婦女庭訓魂結び』が受賞しました。今回は残念ながら外れてしまいました。(通算成績9勝8敗となりました。)
大島真寿美さん
超久しぶりの「名古屋生まれ、今も名古屋在住」の地元作家の受賞です。昭和高校から南山短期大学卒。この地方出身の受賞者は、近年では岐阜の朝井リョウさん、奥田英朗さんなどがいますが、いずれも受賞時は地元を出てました。地元在住で受賞したのは……
1991年の宮城谷昌光さん以来です。
★内容紹介
舞台は江戸時代の大阪・道頓堀。浄瑠璃作者・近松半二の生涯を描いた作品。儒学者の息子として生まれた穂積成章(なりあき)は小さい頃に父に連れられて芝居小屋に行ってから、浄瑠璃が大好きになる。すでに他界していた近松門左衛門の硯を父からもらったことがきっかけで物書きの道に進むことに。けれど後輩には追い越され、人形使いからは何度も書き直しを命じられ、なかなか芽が出ないが、それでも書き続けた半二が、「妹背山婦女庭訓」という大作を仕上げるまでには何があったのか……。
★読みどころ1)物語はどこから生まれてくるのか、というテーマ
テレビも映画もなく字が読める人も今より少なかった時代、芝居は庶民が誰でも楽しめるフィクションの世界。フィクションを生み出すとはどういうことかを著者はこの作品で追求している。
★読みどころ2)語り口の素晴らしさ
セリフだけでなく、地の文がとても軽やかで、小説自体が浄瑠璃の語りを聞いているような絶品の文章。
大島さんはベテランで著作も多く、作風も青春小説から恋愛もの、家族もの、時代物と幅広い。ぜひ他の作品も読んでください。おすすめは『ツタよ、ツタ』明治の終わりに沖縄で生まれた女性の一代記で、戦前の名古屋も登場。

第161回直木賞受賞作 大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓魂結び』
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