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初瀬礼『ホークアイ 警察庁特命捜査官 水野乃亜』

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文庫書き下ろし警察小説のシリーズ、第一作。
★内容紹介
主人公の水野乃亜は、高校の時に父親を目の前で無差別殺人犯に殺される。このような被害者を二度と出したくないと思った乃亜は、キャリアとして警察庁に入庁。その後、警視庁刑事部に係長として配属される。この時点で物語の舞台は2022年。
彼女が配属されたのは共助課見当たり班。見当たりとは、捜査員が何百枚もの指名手配犯の写真を覚え、町に出て雑踏から見つけ出す捜査のこと。これは現実に存在する部署。
乃亜は配属された見当たり班で、メンバーたちの職人技と見当たり捜査への誇りに驚く。だが実は彼女には、警察庁からある特命が与えられていた。それはAIを駆使した衆人環視システムと防犯カメラを連動することで機械による見当たり捜査を可能にした新システム「ホークアイ」(架空)を導入し、刑事の勘頼りの見当たり捜査班を解体する、というものだった。AIと職人技、勝つのはどっちか?
★読みどころ1)職人技の見当たり捜査
見当たり捜査は1980年頃に大阪府警が始め、2016年には見当たり捜査による摘発者数が、大阪府警だけで4000人を突破。現在では都市部を中心に多くの都道府県で採用されている。物語では、1枚の写真から、整形や変装している手配犯をどう見つけるのかが紹介されるとともに、一定期間で異動があるため熟練の捜査員が育ちにくいという問題も描かれる。
★読みどころ2)ハイテク対アナログ
効率化、デジタル化で、人間の熟練技が不要になるというのはどの世界でもよく聞く。果たしてそれでいいのかと問いかけてくる。ただし、ハイテクvsアナログという二択ではなく、最終的な目標は何で、それを達成するためにどう融合していけばいいのかというのがポイント。
★読みどころ3)エキサイティングなミステリ
物語の中盤、日本に国際指名手配されているテロリストが潜入する。このテロリストを追って機械であるホークアイと人間の見当たり捜査員がそれぞれ捜査するが、意外な展開に。
さらにアクションあり、頭脳戦あり。シリーズということで登場人物の過去や秘密が次の巻に持ち越される部分も。盛りだくさんの新シリーズ。

初瀬礼『ホークアイ 警察庁特命捜査官 水野乃亜』
双葉社から740円で販売中です。
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