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西條奈加『隠居すごろく』

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★内容紹介
・第一線を退いたご隠居さんの第二の人生を描いた時代小説。

・主人公は、江戸の老舗糸問屋の店主、徳兵衛。還暦を機に、隠居を決意する。
 店を長男に譲って、近くに隠居用の家を買って住むことに。

・初めて商売から解放されてなんでも好きなことができるはずの隠居生活だったが、
 徳兵衛はまったくの無趣味で、すぐに退屈を持て余すことに。
そこに、9歳になる孫の千代太が遊びに来た。
嬉しくて歓迎するが、どうも千代太は手習をさぼって来ているらしい。
しかも野良犬や野良猫を、かわいそうだからと拾ってくる。
 動物嫌いの徳兵衛は孫をきちんと躾けねばと思うが、これまで商売一辺倒で
 家族と向き合ったことがないので、子どもの扱いがわからない。
 犬や猫はやめろというと、千代太は、腹をすかせた人間の子まで連れてくるようになる。
 徳兵衛の悠々自適のはずの隠居生活は、思わぬ方に転がり出して……。

★読みどころ(1)どんどん起きる事件に徳兵衛がどう対応するか
 千代太が連れてきた子どもにご飯を食べさせたら、他の子も来るようになる。
 しかも子どもたちはみんな貧乏で、読み書きもできない。
 でも子どもにもプライドがあって、恵んでもらうのは良しとしない。
 千代太に「なんとかして」と頼まれた徳兵衛は、一時の施しではなく、
 子どもたちの将来も含め、身を立てる方法を考えるが、はたして……?

★読みどころ(2)隠居した徳兵衛の変化
 次々持ち込まれる厄介ごとがはじめは迷惑だった徳兵衛は、次第に日々に張り合いを
 感じるようになる。しかも徳兵衛が子どもたちに頼まれて始めたことは、
 これまでの商売とは違ってまったくの新しいこと。今まで下に見て来た使用人や家族から
 教わることが多く、還暦になって初めて家族や使用人の意外な一面を知る。
 また、新しいことを考え、教わり、仲間たちと協力して、成功させることの喜びを
 還暦になって初めて味わう。

隠居はゴールではなくスタートだということがわかる一冊。

西條奈加(さいじょう・なか)さんの『隠居すごろく』
KADOKAWAから1728円で販売中です。

 
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