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第160回直木賞受賞作 真藤順丈『宝島』

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見事、予想は大当たりでした!

★内容紹介
・物語の始まりは、1952年の沖縄、コザ。
「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちがいた。

米軍施設から物資を盗み出す者、という意味で、リーダーは20歳のオンちゃん。
 オンちゃんは奪った日用品や食料を地元の貧しい人に配り、コザの英雄だった。
 そんなオンちゃんのグループが1952年の夏に挑んだのが、嘉手納基地への侵入。
 物資の持ち出しには成功するが、米軍に見つかってしまい、逃走が始まる。
・メンバーのひとりだったグスクはなんとか逃げ延びたが、オンちゃんは行方不明に。
 逮捕者の中にも、乱闘の末に亡くなった遺体の中にもいない。
 グスクは、オンちゃんの弟のレイと、オンちゃんの恋人のヤマコと一緒に
 オンちゃんの行方を捜すが……
・この三人は幼馴染で、ともに10歳かそこらで第二次大戦の沖縄地上戦を経験した世代。
 この三人を中心に、1952年から、沖縄が日本に復帰する1972年までの
 26
年が綴られる。

・読みどころ1)胸に迫る沖縄現代史小説
 嘉手納基地のあったコザ市(1974年からは沖縄市)を舞台に、
アメリカ信託統治下の沖縄が生々しく描かれる。
物語自体はフィクションだが、実際に起きた事件や実在の人物も登場。
描かれるのは1955年のアメリカ兵による幼女強姦殺人事件、
1959
年に石川市(現・うるま市)で起きた小学校への米軍機墜落事故、
1970
年のコザ騒動。
他に、米軍基地で起きた毒ガス漏洩事件や、
沖縄返還についてのニクソン・佐藤栄作会談など。

どれも過去の話ではなく、現在も続く問題ばかりで、
「日本に戻っても、本土の人にとっては沖縄で何が起きても対岸の火事」という
登場人物の言葉が刺さる。

・読みどころ2)圧倒的な人間ドラマ
 幼馴染みの三人は、それぞれ成長して警官と教師とヤクザになる。
彼らの日々の様子が沖縄の歴史の中で描かれる。オンちゃんはどこに行ったのか。
その真相がわかったときは胸がいっぱいになる感動作。

エネルギーがほとばしる大作です。

第160回直木賞受賞作 真藤順丈『宝島』
講談社から1998円で販売中です。

 
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