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佐藤賢一さんの「遺訓」

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「遺訓」とは「南洲翁遺訓」のこと。戊辰戦争で薩摩と戦った庄内藩の人たちが、
直接西郷隆盛から受けた教えをまとめた書物の名前。
★内容紹介
・舞台は明治初頭。西郷隆盛が明治新政府から抜けて鹿児島に戻った頃のこと。
元庄内藩、この時点では酒田県に、明治政府の密偵が入り込む。
実は庄内藩は戊辰戦争のとき薩摩と闘い、最終的に降参はしたものの、
西郷の戦後処理がとても公平で温情あるものだったため、ずっと薩摩と友好関係にあった。
西郷が明治政府から離れ、不平士族が西郷のもとに集まっている中、
庄内藩が何か西郷に協力するのでは、という疑いをかけられての密偵潜入だった。
物語はここから、西郷と庄内藩の交流を中心に、西南戦争へとなだれ込む様子を描く。
・読みどころ(1)西郷と庄内藩のつながり
庄内藩は藩の若者を薩摩に留学させたり、その留学生が西南戦争に従軍したりしている。
なぜ戊辰戦争では敵味方だったふたつの藩が友好関係を結べたのか、
これは現代にも通じるとても大事なテーマ。
・読みどころ(2)語り手のひとりが、沖田芳次郎
沖田芳次郎は、新選組の沖田総司の甥。幕末に新徴組という清河八郎が作った浪士隊に所属し、そのまま庄内藩召しかかえとなって庄内で戊辰戦争を戦った。
叔父に勝るとも劣らない剣豪として描かれる芳次郎のアクションシーンの迫力と、
戊辰戦争で負けた側から明治新政府と西南戦争を描く試みが面白い。
・読みどころ(3)西南戦争とは何だったのか。
当時の明治政府は、役人が私利私欲に走り、独断で政治を進めていた。
そんな役人を批判し、政府の言いなりにならずに立ち上がった西郷を描くことで
著者は、上が間違っていたら下は声をあげるべきだ、というテーマを込めた。
・大河ドラマを見た人も見なかった人もぜひ読んでほしい歴史小説の傑作。

佐藤賢一さんの「遺訓」
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