★内容紹介
・名古屋が舞台の漫画。先月最終巻となる4巻が出て完結しました。
・主人公は大学4年生の市井かりんさん。就職活動中だったが、覚王山で喫茶店を
経営している祖父が倒れたのをきっかけに、その喫茶店を継ぐことにする。
だがその店は昔ながらの喫茶店で常連さんは祖父の知り合いのお年寄りばかり。
どちらかといえばのんびり屋のかりんさんは、無事にお店をやれるのか?
・読みどころ(1)実は名古屋の地理と歴史の漫画
絵柄は少女漫画で、かりんさんの人間関係や成長、恋愛など少女漫画らしい
ストーリーもあるが、物語の中心は、「名古屋のこの地域はどうしてこんな街並み
なのかな?」を紹介することにある。
・たとえば3巻では、名古屋駅から伏見まで歩いて行こうとしたら道に迷った、
というお客さんが登場する。名古屋の中心地は碁盤の目だとばかり思っていたら
名古屋駅から堀川の間は意外にごちゃごちゃしていて、しかも斜めに走っている
道がある。どうしてこんな変な道が通ってるのか、の歴史を紐解いてみる。
・かりんさんの妹が、緑区大高の友達の家に行く回では、道がせまくて曲がり角が多く、
車が通りにくくて不便という話が出る。なぜ大高にはそんな道があるのか、
歴史から紹介するとともに、その地域ならではのお祭りの話なども。
・名古屋の各地の歴史を地理から紹介する、つまり、少女漫画版ブラタモリ。
ブラタモリの名古屋の回で紹介された話を、この漫画の方が先に扱っている。
・読みどころ(2)散歩の醍醐味がわかる。
散歩には四つの楽しみがある。季節を味わう、場所を読み取る(ここは標高が
低くて水害が多そうだなあ、など)、存在の理由を想像する(どうしてこんなところに
これがあるんだろう、など)、他者の当たり前に触れる(その土地の人が普通に
おこなっていることが意外と新鮮)。この漫画を読むと、街を歩いてみたくなる。
キュートな少女漫画とガチの地理学が融合したオススメのコミックス。
柳原望(やなはら・のぞみ)さんの『かりん歩(ぽ)』
KADOKAWA MFコミックスから出版されて
1巻から4巻、それぞれ648円で販売中です。