多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

須賀しのぶさん『夏空白花(なつぞらはっか)』

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★内容紹介
・昭和20年8月16日、大阪の朝日新聞社をある人物が訪れた。
 佐伯達夫(実在)。元学生野球の選手で、戦前は関西の中学野球(現高校野球)の
 発展に尽力した人物。彼は、戦争が終わったから夏の甲子園を復活させよう、と言う。
・主人公は朝日新聞社に勤務する記者(架空)。
 彼は戦前、中学野球のピッチャーで甲子園に出場した選手。
 野球への愛情に加え、軍国主義を煽ってきた新聞社としては、
 アメリカのスポーツである野球を推奨することで生き残る道があるのでは、
 という打算も働き、甲子園大会の復活に向けて動きだす。
・食べるものもない、野球の道具も戦争で焼けてしまった、球場は畑になっていたり、
 アメリカ軍に接収されたりしている。戦争中は野球が禁じられ、
 今の中学生は4年間野球をやっていない。指導者も審判もいない。
 そんな状態で中学野球なんてできるのか?

★読みどころ
(1)史実に極めて忠実。
  主人公の記者と彼をめぐるドラマはフィクションだが、占領軍の対応や世間の反応、
  文部省の反応など、すべて事実に基づいている。
  旧制中学による選手権大会が終戦翌年、昭和21年8月15日に西宮球場で
  開催されるまでの、関係者の尽力のドキュメンタリーとして読める。

(2)単なる感動物語ではなく現代への問題提起。
  占領軍は、敗戦後の國民の娯楽としてプロ野球の復活はすぐ認めたが
  学生野球は、アメリカの考えるベースボールと違う、
  という理由でなかなか許可が出ない。
  主人公はそれを聞いて、異なる日本の「野球」とは何なのかを考える。

今の高校野球が戦後に復活したドラマを味わうとともに、
日本の高校野球とは何なのかをもう一度考えさせてくれる物語。

須賀しのぶ『夏空白花(なつぞらはっか)』
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