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飯嶋和一『雷電本紀』

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★内容紹介
・先日の名古屋場所で優勝した御嶽海は長野県木曽郡の出身。
 長野県出身の力士が優勝したのは現在の大相撲の制度になって初だが、
 その前に、大相撲史上最強と言われた力士が信州から生まれている。
 それが江戸時代寛政~文化期に活躍した雷電為右衛門。(現在の東御市出身)
 通算成績254勝10敗2分14預。約20年間で10敗しかしていない。
・物語は雷電の少年期から始まる。天明の飢饉のときに生まれた雷電、
 本名・太郎吉は小さい頃から体が大きく、農家にとっては重要な働き手だったが
 父親は太郎吉の将来のために、江戸の力士に雷電を預ける。
・その頃の相撲は藩ごとにお抱え力士がいて、勝負は馴れ合いになり、
 武士が口を出したり、藩からの命令で勝負の結果が捻じ曲げられたりもしていた。
 そんな中で雷電はいっさい忖度せず、常に全力で相手に立ち向かっていく。
 それを見ていた庶民たちは勇気付けられ、飢饉や圧政に立ち向かう決意をする。

★読みどころ
(1)飯嶋和一が描く庶民の姿
当時の相撲の様子や雷電の姿はもちろんだが、飯島和一は常に、
あまり知られていない歴史上の人物を主人公にしてその周囲の庶民の姿を描く。
ほとんどの作品に共通するのは、戦争や飢饉や政治の争いなどがあったとき
最も辛い思いをし、まっさきに犠牲になるのは庶民だということ。
一切を忖度せず自分の信念だけを拠り所に快進撃を続ける雷電の姿に、
苦しんでいた庶民が次第に変わっていく様子が最大の読みどころ。
(2)今月、飯島和一の新刊『星夜航行』が出た。
徳川の家臣だった男が出奔して九州で商人になり、ルソンに渡り、
帰国して朝鮮出兵に巻き込まれる
スケールの大きな歴史小説。合わせてオススメ。

飯嶋和一(いいじま・かずいち)『雷電本紀』
小学館文庫から750円で販売中です。

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