書評家でもあり、作家でもある大矢博子がオススメの本をご紹介
仁木英之『奏弾室(そうだんしつ)』
★内容紹介-ピアノをモチーフにしたファンタジックな連作短編集
・主人公は大学生の秋葉佑介。
夏休みのある日、近所の山を散策しているとピアノの音色が聞こえてきた。
その音色に惹かれてたどり着いた先には一軒の洋館。
そこに住む松田沙良という女性は、そこでピアノ教室を開いているという。
事情を持つ生徒に一対一で教える形式で、佑介は成り行きで助手を務めることに。
そこには、娘の結婚式でバッハを弾くという父親、
誰かに聞かせたいらしい槇原敬之の「どんなときも」を練習する女性、
ラフマニノフを連弾したいという女性、などなど。
佑介は彼らの練習と発表の場に立ち会うが、
次第に不思議が出来事が起こるようになって……。
★読みどころ
(1)あとを引く謎のバラまき方
第一話の娘の結婚式で演奏する父親の話はキレイに完結して、意外な結末もあって
とても感動的な短編。ところが第2話以降は、話は一応完結するが、
少しずつ違和感が残る。全部が説明されない、積み残しがあるような感覚。
それが第3話、第4話と進むにつれて大きくなり、最後にそういうことか!と。
(2)個々の短編で描かれる物語
このピアノ教室に来る生徒は、誰か特定の人に演奏を聴かせるために練習をする。
それは、約束だったり、メッセージだったり、何かの証明だったりという意味を持つ。
言葉では伝えられない思いをピアノに託す、その陰には伝えたいという
強い気持ちと時間を費やした努力がある。
これを読むと、たとえ素人の演奏であっても、演奏の上手い下手ではなく、
その背後には必ず物語があるのだということを感じさせてくれる。
謎の力で読者を誘う、ファンタジックな感動小説
徳間書店から1728円で販売中です。
・主人公は大学生の秋葉佑介。
夏休みのある日、近所の山を散策しているとピアノの音色が聞こえてきた。
その音色に惹かれてたどり着いた先には一軒の洋館。
そこに住む松田沙良という女性は、そこでピアノ教室を開いているという。
事情を持つ生徒に一対一で教える形式で、佑介は成り行きで助手を務めることに。
そこには、娘の結婚式でバッハを弾くという父親、
誰かに聞かせたいらしい槇原敬之の「どんなときも」を練習する女性、
ラフマニノフを連弾したいという女性、などなど。
佑介は彼らの練習と発表の場に立ち会うが、
次第に不思議が出来事が起こるようになって……。
★読みどころ
(1)あとを引く謎のバラまき方
第一話の娘の結婚式で演奏する父親の話はキレイに完結して、意外な結末もあって
とても感動的な短編。ところが第2話以降は、話は一応完結するが、
少しずつ違和感が残る。全部が説明されない、積み残しがあるような感覚。
それが第3話、第4話と進むにつれて大きくなり、最後にそういうことか!と。
(2)個々の短編で描かれる物語
このピアノ教室に来る生徒は、誰か特定の人に演奏を聴かせるために練習をする。
それは、約束だったり、メッセージだったり、何かの証明だったりという意味を持つ。
言葉では伝えられない思いをピアノに託す、その陰には伝えたいという
強い気持ちと時間を費やした努力がある。
これを読むと、たとえ素人の演奏であっても、演奏の上手い下手ではなく、
その背後には必ず物語があるのだということを感じさせてくれる。
謎の力で読者を誘う、ファンタジックな感動小説
徳間書店から1728円で販売中です。
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