名古屋おもてなし武将隊® 戦国音絵巻

名古屋おもてなし武将隊 信長織田のすべらないダジャレ「掛詞茶会」

400年前より現代に蘇りし戦国武将の集団・名古屋おもてなし武将隊®が、ラジオ界の天下一を目指す番組『戦国音絵巻』。
9月28日の”出陣”は、織田信長、前田利家、陣笠隊の足軽・惣平(そうべい)です。

今回の週替わり企画は「掛詞茶会(かけことばちゃかい)」が行われました。

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すべらんなぁ~

血で血を洗う戦国時代。癒しを求めた武士たちにとって茶の湯文化は欠かせないものでした
そして、万葉集の時代から続く和歌を詠む文化は、武士の間でも愛されてきました。
その「茶会」と「歌会」の要素を組み合わせたのが、掛詞茶会です。

和歌の技法「掛詞」で鍛えられた言葉遊びの技術を、武将たちが惜しげもなく披露。
掛詞の侘び寂び(わびさび)を堪能した他の者たちは、「結構なお点前(てまえ)で」と返すのが作法となっています。

早い話が、ダジャレ大会です。

ただ、前述の作法があるように、掛詞茶会は雅(みやび)な空間なので“スベる”という概念がありません。
現代風に言えば『信長織田のすべらないダジャレ』ですね。
 

普通のお笑いならご法度

早速、信長が名乗りを上げました。

信長「お前の庭は殺風景だが、儂(わし)の庭は彼岸花がたくさん咲いて、綺麗じゃぞー。
ん?何だ今、儂のこと、僻(ひが)んだな?」

どこが掛詞になっているか、大抵の人は気づくでしょう。
ですが、掛詞茶会の真骨頂はここからです。

惣平「信長様、それはどういった意味でございましょうか?」

信長「我が庭に彼岸花が咲いておるが、誰かさんの庭には何も咲いていない。織田信長の庭がうらやましい。そう、“僻んだな”」

惣平・利家「なるほど。結構なお点前で」

カコーン。(ししおどしの効果音)

ダジャレの説明を求められ、丁寧に解説するなんてことは、普通ならとても恥ずかしい屈辱的な行為。
ですが、掛詞茶会では「お茶をじっくり味わうように、ダジャレを噛み砕いて説明する」ことに、侘び寂びを見出だすのでした。

 

その意気や良し

信長直属の家臣である利家は、主君の掛詞の出来映えにただただひれ伏すばかり。
それ以上の作品は作れないと観念し、「次のお題に参りましょうか」と言ったところ…。
なんと、惣平が手を挙げたのです。

惣平は今年5月、400年前から現代に蘇り、武将隊に新加入したばかり。
しかも『戦国音絵巻』にはまだ2、3回しか出陣していない新参者です。
そんな惣平が、足軽の身分でありながら参戦してきたのです。

いや、ここは誰もが雅な気分に浸れる掛詞茶会。身分の違いなど関係ありません。
信長も利家も「では参れ。言ってみよ」と喜んで耳を澄ませます。

惣平「この彼岸花の季節に、お前は俺の所に来るなんて。それは志願だな」

これは、本当に説明がほしいほど、フワッとした掛詞ですね。

信長「惣平よ、それはどういう意味なんじゃ?」

惣平「はっ。ある男が来まして。拙者に『仕えさせてくれ』と志願しに来たのでございます。
それが彼岸花の季節だったので、“志願だな”と」

信長・利家「なるほど。結構なお点前で」

カコーン。
 

○○○○があらわれた!

「足軽に仕えようとするヤツって誰なんだよ!」
「彼岸花の季節に志願って、設定に脈絡無さすぎだろ!」

…などと言いたくなるような掛詞ですね。

思わず利家も作法に反して「ちょっと何か無理やりな気がしなくもないが…」とつい言いかけた、その時。

「ほぉーほっほっほっほっ!」

どこからともなく謎の笑い声が響いてきたではありませんか。

「だ、誰だ?誰だ?」あわてる利家。

「久しぶりじゃのう。儂はこの掛詞茶会が大好きな公家、『公家太郎(くげたろう)』でおじゃる。ほぉーほっほっほ!」

そう、彼は掛詞茶会が行われるたび毎回口出ししてくる、貴族の1人なのです。上から目線で武家をバカにして、茶々を入れてくるのです。茶会だけに。

一説には、「信長が声を変えて公家太郎を演じている、1人2役キャラ」と言われていますが、ラジオでは姿が見えないので真相不明です。

 

てまえにあ・ら・ず

公家太郎「織田信長よ、いくら掛詞の出来が悪くても『結構なお点前で』と言えば茶会になる、と思ったら大間違いであるぞ。
このクソ足軽・惣平の田舎臭い掛詞など、点前にあ・ら・ず」

ドラマ『半沢直樹』で大和田常務が言った「お・し・ま・いDEATH!」を彷彿とさせる、公家太郎の憎まれ口。このままやられっ放しで終わるのか?

「とぉーぅっ!どっか行けっ!」

そこへすかさず信長が倍返しのキックを見舞い、公家太郎はあえなく退散していったのでした。
このやり取りも信長の1人芝居という説がありますが、真相は闇の中。この闇は半沢直樹でも暴けないことでしょう。
 

歴史の勉強になります

気を取り直して、2つ目のお題は「始球式」。
これは先日、信長が女子ソフトボールの始球式を行ったことにちなんでいます。

またもや最初に名乗りを上げたのは信長です。

信長「宿敵・武田信玄め!お前は強い。しかし、儂は400年後に蘇った武士(もののふ)である。お前の歴史はもう知っておる。
三方ヶ原(みかたがはら)の戦いが来たらお前は“至急、死期”だ」

これは1573年、武田信玄軍に徳川家康・織田信長連合軍が挑むも、惨敗。 
しかしその三方ヶ原の戦いの後、間もなく信玄が病死してしまったという史実が元の、掛詞です。
まさしく、信長ならではの作品と言えましょう。

ちなみに信玄亡き後は形勢逆転し、最後には織田側が武田家を滅亡させるという、激動の歴史となっています。

 

徳川勢力に警戒

続いて、利家が掛詞を披露します。

利家「いやあ、始球式に呼ばれて来た…あっ、おお、担当者殿、これはこれは、丁寧なご挨拶で。なんと、このような名刺まで…何じゃこの名刺?ずいぶん作りが古いな。
名刺、旧式?」

名刺、旧式。
めいし、きゅうしき。
めい、始球式。

「旧式の名刺って、何?」などというツッコミは野暮です。

ところが、信長がワナワナ震え出しました。

信長「ハッ、ハッ、ハッハハッ…前田利家は我が織田家の家臣。織田流かと思いきや、この掛詞は“尻頭(しりあたま)つなぎ法”の、徳川流ではないかっ!謀反であるぞぉーっ!」

これこそ説明が必要ですね。これまで開かれていた数々の掛詞茶会において、武将隊のメンバーの1人・徳川家康が参加した際、毎回披露した技法が「尻頭つなぎ法」。
言葉の最後の部分を、次の言葉の頭につなげて1つの言葉にするというテクニックです。

この場合、名刺の「刺」を、「旧式」に合わせたわけです。
その手法を信長は「徳川流」と名付けて、称賛しつつも勢力の浸透を恐れていたのでした。
 

か○ことば茶会

あわてて言い訳を考える利家。

そこで出たのが「五大老(ごたいろう)」。
かつての豊臣政権下で、5人の有力な大名として名を連ねたのが、徳川家康・前田利家・毛利輝元・上杉景勝・宇喜多秀家。

これならばと、利家が弁解します。
「信長様。これは徳川流ではなく、五大老流にございまする」

が、焦りのあまり「ごたいリョウリュイにございまする」と、豪快に噛んでしまった利家。

掛詞茶会ならぬ「噛み詞茶会」になったのでした。
(岡戸孝宏)
 
名古屋おもてなし武将隊® 戦国音絵巻
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2020年09月28日21時30分~抜粋

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