名古屋おもてなし武将隊® 戦国音絵巻

織田信長、別人格で自分を褒めたり貶したりする。

400年前より現代に蘇りし戦国武将の集団・名古屋おもてなし武将隊(R)が、ラジオ界の天下一を目指す番組『戦国音絵巻』。
7/30の"出陣"は、織田信長、前田利家、陣笠隊の足軽・哉太郎(やたろう)です。

利家は、今年3月にいったん天に還り、5月に新しい肉体に魂を宿らせて再び現世に蘇ってきました。それ以来、今回がこの番組への“初陣”となります。

今回は「掛詞茶会(かけことばちゃかい)」第7回の模様をお届けします。

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お題は夏まつり

戦国時代に数々の茶会で磨かれた、武将の言葉遊びの技術を披露してもらい、その"侘・寂"(わびさび)を堪能する企画です。
和歌などで使われるテクニック、掛詞。今風の言い方だと“ダジャレ”です。
これを茶の湯のように味わい、「結構なお点前(てまえ)で」と返す。茶葉の代わりに言の葉を使うという大変優雅な戯れとなっています

では早速、進めていきましょう。まずは掛詞のお題を決めます。ダジャレにする言葉ですね。

毎年7月末の週末に名古屋・栄で開催される「CBCラジオ夏まつり」が、今年は台風の影響で土曜日だけ中止になってしまいました。実は『戦国音絵巻』のステージも用意されていて、そこで「公開掛詞茶会」が予定されていたのです。
その雪辱を果たすという訳でもありませんが、最初のお題は「夏まつり」でいきます。

数秒のシンキングタイムの後、信長が名乗りを上げました。

信長「お主、この季節に、そんなもの出してどうしたんじゃ!?こんな、夏間(なつま)に!」

哉太郎「信長様、それはどういった意味でございましょうか?」

信長「これはじゃな。わしが、『なぜこんな季節外れの物を出しておる』と聞いておるんじゃ。何を出しておったと思う?そう、現世では年の暮れに出すクリスマスツリーを夏に出しておる。そう、夏の間にツリー。なつまつりー」

利家&哉太郎「なるほどー。結構なお点前で」

カコーン。(ししおどしの音)

トリッキーな信長の戦法

ここでいくつか説明します。

流れとしては、①武将がダジャレを言う。②陣笠隊の者が説明を求める。③武将が改めてダジャレの説明をする。④他の2名が感心・感服する。

普通、ネタの説明を改めてするなんてことは恥辱的な行為です。しかしこの掛詞茶会の空間では、それこそが侘・寂。そしてここでは“滑る”という概念が一切ありません。一般社会では超くだらないダジャレでも、上級の作品として全員が堪能できるのです。

更に信長の場合、ややトリッキーな掛詞の手法を使います。ダジャレを言わず、まずその状況を表現し、説明を求められてからやっとダジャレを言う。ちょっとしたクイズ形式と言ってもいいでしょう。
これは、すぐにダジャレが聞けないためテンポが悪くなりがちで、上級者向けの変則的な手法です。短歌で言うなら31音を「五七五七七」ではなく「三五七九七」に区切るようなもので、多用は禁物の技なのです。

続いて、掛詞茶会に初参加の利家が、作品を発表します。特殊な信長との違いを確認してください。

利家「伊勢国で祭りが開かれるのか?なっ!?“津まつり”!?」
哉太郎「利家様、それはどういった意味でございましょうか?」
利家「伊勢国(現在の三重県)に津という地があるな。そこで祭りが開催されると。なっ、つまつり」
信長&哉太郎「なるほど、結構なお点前で」

カコーン。

「祭り」の部分を大胆に残すという力技ではありますが、こちらはダジャレとして基本的な発表法だというのが分かりますね

(ちなみに津まつりは実在するお祭りです)

滑るより酷い

ここからは、えまき~(音絵巻リスナー)が矢文(メール)で送ってきたお題を使っていきます。
Aさんからのお題は「花火」です。10秒ほど考えた末、信長が先陣を切ります。

信長「イタタ、イタタタ、イタタ、そんなに引っ張っては取れませぬぞ!」
哉太郎「信長様、それはどういった意味でございましょうか?」
信長「これは、鼻を引っ張られて痛がっていた訳じゃな。そう、鼻をビーッて。ハナビーって」
利家&哉太郎「はあ…。なるほど、結構なお点前で」

カコーン。

掛詞茶会の空間では、滑ることは無いものの、作品の特性によって一瞬箸休め的な時間が流れることがあります。あくまでも滑ったのではなく、空気が落ち着いただけです。滑ったんじゃないです。

「ただ面白いことを言えばいい訳ではない。謎の掛詞によって虚無の時間が訪れるのも、侘・寂の世界なんじゃ」と、信長は説くのでした。

そこへ哉太郎が参戦の意を表しました。高貴な遊びの場とは言え、身分の違いなど気にすることはありません。信長もその意気を歓迎します。
さあ果たしてその作品とは!?

哉太郎「ジィィィィィ、ジィィィィィ、ジィィィィィィィ・・・。あぁっ!それ、拙者の花火!」

あれ?どこに掛詞が?

信長「哉太郎、それはどういった意味じゃ?」
哉太郎「これは拙者、焼き肉の最中でして。『カルビ』と『花火』を掛けました」
信長「なるほど。結構なお点前・・・になるか!何じゃ今のは!?
利家「わしはただただ、手持ち花火を取られた童(わっぱ)かと…」

ですよね。これでは普通に花火の情景しか思い浮かびません。滑る滑らない以前に、伝わらないと掛詞の意味がありません。

回りくどい自画自賛

???「おーぉほーぉっほっほっほぉ。先程からぁ、聴いておったが、やはり尾張の子猿めにはぁ、まだ掛詞はぁ早かったようでおじゃるなぁ!」

おっと、謎の人物が突然現れました。随分ゆるりとした話し方です。

信長「うるさい、公家太郎!引っ込んでおれ!とぉーっ!」

すかさず蹴散らす信長。そうです。この掛詞茶会はあまりに雅(みやび)過ぎるため、公家の者が上から目線で毎回茶々を入れに来るのでした。茶会だけに。

彼の名は公家太郎と言います。あっさりネタバレすると、信長が演じています。そう、彼は信長の別人格なのです。早い話が1人2役なので、ここから信長は忙しくなります。

続いてBさんからのお題は「猛暑」。早い早い、3秒で信長が思い付きました。

信長「いやあ、暑い暑い。暑い日が続くなあ。『信長様。もう8月にもなろうといところですぞ!』。はぁ、もうしょんなにいった?」

家来との会話形式です。「猛暑」と「もうそんなに」とを掛けています。

公家太郎「おーぉほーぉっほっほっほぉ。さすがは尾張の織田信長。掛詞の面白さもさることながら、思い付く速度こそがぁ、この織田信長の強みにおじゃる」

信長「公家太郎、黙っておれっ!とぉーっ!」

公家太郎として自分の頭の回転の速さを褒めるという、回りくどい自画自賛です。

清正からも矢文が

最後は、武将隊のメンバーである加藤清正からのお題です。それは「セロリ」。日本にセロリを最初に持ち込んだのは清正と言われており、セロリは別名“清正人参”とも呼ばれています。

信長「『こんなにセロリがあったら、すぐは食べられんじゃろー!』。カカカカカッ、ポン!どうじゃ、一瞬で食うたぞ」
哉太郎「信長様、それはどういった意味でございましょうか?」
信長「やはり、セロリというものはな、クセの強い香りで一度に大量に食べることはできないが、それをわしはサーッと、そう、セロリをペロリと食べた」

公家太郎「おーぉほーぉっほっほっほぉ。なかなか織田信長、速さは良いが、今のはちとムリがあると思うぞ」
信長「うるさい、黙れ!とぉーっ!」

今度は公家太郎のキャラを借りて、自己反省をする信長。別人格をサラリと便利に使っていますね。セロリだけに。

カコーン。
(岡戸孝宏)
名古屋おもてなし武将隊® 戦国音絵巻
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2018年07月30日21時43分~抜粋

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