400年前より現代に蘇りし戦国武将の集団・名古屋おもてなし武将隊が、ラジオ界の天下一を目指す番組『戦国音絵巻』。
12/18の“出陣”は、豊臣秀吉、徳川家康、足軽の陣笠隊・哉太郎(やたろう)です。
今回は「太閤さんの猿芝居」の模様をお届けします。
織田信長から“猿”と呼ばれた太閤・豊臣秀吉が、人の心を掴む演技力を披露するコーナー。
えまき~(音絵巻リスナー)から秀吉に言ってもらいたいセリフが、矢文(メール)でたくさん送られてきました。
豊臣秀吉、戦国時代でも猿芝居でも徳川家康に主役の座を奪われる
あくまでも自然にセリフを入れよう
まず選ばれたのはこちらの2つ。
【1】「わしをスキーに連れてって」
【2】「~震える」
これらのセリフを、会話の中でさりげなく秀吉が織り込むことができれば成功。軍師(ディレクター)がOKと判断すれば、童謡「アイアイ」の曲が流れます。お猿さんつながりです。
ちなみに、クリアすればセリフがその都度新たに追加されます。
ここで、セリフの補足説明をしましょう。
【1】は、原田知世主演の映画『私をスキーに連れてって』をやや武士っぽくしたもの。
【2】は、西野カナ『会いたくて 会いたくて』の歌詞のサビ部分です。ハッキリした歌詞はここでは載せられないのでこういう表記になります。ご了承ください。
では、会話を進めやすいように、えまき~から送られてきた普通のおたよりを哉太郎が読み上げていきます。
Aさんからの矢文です。
「2017年も終わりですが、そろそろ哉太郎さんにも企画を持たせて頂けないでしょうか?哉太郎さんが現世に蘇って半年以上です。戦の場数も多く踏んでいますので、よろしくお願いいたします」
哉太郎が400年前の戦国時代から現世に蘇り、武将隊の一員になったのが今年5月。このラジオには7月からの登場なので、まだぎこちない所はありますが、もう哉太郎が仕切る企画(コーナー)があってもいいのではないかという提案です。
滑るのは得意な秀吉
秀吉 「まあ、わしが一言言えば企画なんてすぐできるで。ただ条件がある。わしをスキーに連れてって!」
しーん。
アイアイの曲は流れてきません。こんなセリフの入れ方では合格ラインに到達しないという、軍師の判断です。
さあ、ミッションクリアになるまで続けていかなければなりませんが…。
ここで哉太郎が懇願してきました。
「秀吉様。意味を詳しく教えてくださりませ」
秀吉「何!?それは、わしをスキーに連れてってくれれば、企画を作ってあげるよという意味じゃ。わしは今とてもスキーをしたいんじゃ。分かるか?」
哉太郎「と、おっしゃいますと?」
秀吉「だから、そのままの意味じゃろ?わしをスキーに連れてってくれればお主の企画をわしが作ってやるよということじゃ!」
家康「いやいや、秀吉殿。それでは、足軽のこの者には分かりづらいがゆえ、端的に」
秀吉「だから端的に言うと、わしをスキーに連れてってということじゃ!」
哉太郎「秀吉様!拙者、足軽なゆえ、学がのうて(無くて)分かりませぬーっ!ううう…」
家康「すまんな、哉太郎…。わしが悪いんじゃ…。泣くな!」
(アイアイ♪)
なぜか、哉太郎と家康が芝居がかった感じになり、軍師もついアイアイの曲を流してしまうのでした。
嫁に会いたい
よく分からないままセリフが1つクリアになったということで、新たなセリフが追加されます。
【3】「そうだ、京都に行こう」
1993年から始まったJR東海のキャンペーンですね。元々は794年平安京遷都からの1200周年事業に向けて始まったものです。正確には「そうだ 京都、行こう」です。
秀吉「わしの猿芝居というのはとてもうまくいくはずなんじゃ。だで、今日も絶好調になるはず。ということは、そうだ、京都に行こう!」
家康「どういう意味にござるか?」
食い気味に問いかける家康。
秀吉「わし、京都に行きたい!なぜなら、高台寺という、わしの嫁・おねが眠っとる場所があるんじゃ!わしはおねに会いたい!会いたくて、会いたくて、ふ…」
哉太郎「秀吉様ーっ!」
今度は哉太郎が完全にかぶせてきました。
哉太郎「拙者、足軽なゆえ、学がのうて分かりませぬーっ!」
家康「学がある将軍のわし、徳川家康にも、こればかりは分からんっ…」
秀吉「いや、分かるじゃろうて!」
そうです、400年前はおねと家康は実際に面識があったのですから。しかし芝居に入った家康は聞く耳を持ちません。
「うううっ…」「うわあぁぁぁ…」嗚咽する家康と哉太郎。
(アイアイ♪)
主役はどっち!?
もはや、合格の判断基準が分かりません。
「では続きまして、追加の矢文を」
むせび泣いていた哉太郎がケロッとして進めます。
【4】「家康、アウトーーーー!」
これは大みそか恒例、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)の「笑ってはいけないシリーズ」でおなじみのフレーズですね。本来ならこのフレーズと共に棒でお尻をシバかれるのですが、さすがにそんな無礼はさせられません。
秀吉「家康殿、今日お主、ちゃんと協力しておる?猿芝居というのは、皆で作り上げるものなんじゃ。お主は分かっておらん!芝居というのは独りだけでやってもしょうがない。みんなでやるのが一番ええんじゃ!」
家康「いやあ、よく分からん、秀吉殿。アウトーーーー!」
(アイアイ♪)
「いや、わしがアウトじゃにゃーて!おかしいじゃろ?」
秀吉の抗議が虚しく響きます。
家康「これは出過ぎたマネを。今のは失敗でござる…。
!?秀吉殿?やめてくだされ!やめてくだされ!」
哉太郎「家康様!?ああっ!」
家康「哉太郎っ!うわああああああああああっ!」
哉太郎「家康様ぁぁぁーっ!」
(アイアイ♪)
何なんでしょうか、この前衛的で難解な芝居は。
家康「哉太郎…。この恐ろしい場所から離れ、そうじゃ、京都へ行こう!」
哉太郎「はーっ!」
(アイアイ♪)
すっかり主役の座を奪われた形の秀吉。
さながら、哉太郎と家康との合同企画が行なわれたかのような結果となったのでした。
(岡戸孝宏)
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