400年前より現代に蘇りし戦国武将の集団・名古屋おもてなし武将隊が、ラジオ界の天下一を目指す番組『戦国音絵巻』。
11/27の“出陣”は、徳川家康、前田慶次、足軽の陣笠隊・踊舞(とうま)です。
今回は、徳川家康による企画「イエス!家康、聞きに行く!」第4回の模様をお届けします。
これは、天下泰平の世を築き、264年もの長きに渡って続いた江戸幕府を開いた家康が、現世の民の小さな悩みや争い事を直接聞いて解決するという、遠山の金さん風味も漂う企画です。
戸惑い、暴走、挫折。そして前田慶次は這い上がる。
戸惑う慶次
この企画では、えまき~(戦国音絵巻リスナー)から相談の矢文(メール)を募集し、それを陣笠隊が読み上げていく形を取っています。
慶次にとってはこの企画、初陣です。この独特の雰囲気についてこれるでしょうか。
踊舞「それでは家康様。早速、えまき~の相談に乗って頂きたいのですが、聞いて頂けますか?」
家康「YES!」
(いえやすぅ、ききにぃく♪)
※某美容外科・高○クリニックのCM風に録った声が流れる
踊舞「ありがとうございます。では、読み上げて参ります」
このやり取りは毎回繰り返されます。様式美です。
Aさんの矢文「最近めっきり寒くなってきましたが、家に暖房器具がありません。電気ストーブを買うか、電気カーペットを買うか悩んでいます。どちらが暖かいでしょうか?」
この相談に家康はどう答えるでしょうか。
家康「裁きを申し渡す!おしくらまんじゅう!」
踊舞「こ、これは一体どういうことでございましょうか?」
家康「電気ストーブ、もしくは電気カーペット。そんなものは要らぬぞ。お主が本当に必要なのは、“温もり”。そう、人と人とが押し合いへし合いするような、明るい家庭を築くが良い。その上でおしくらまんじゅうを致せば、暖かくなろう」
(いえやすぅ、ききにぃく♪)
踊舞「ありがとうござりまする。それでは家康様、続いてのえまき~の相談に乗って頂きたいのですが、聞いて頂けますか?」
家康「YES!」
(いえやすぅ、ききにぃく♪)
踊舞「ありがとうござりまする。では、読み上げて参ります」
この面倒なやりとりは様式美です。茶道でお茶を頂く際、お茶碗を左に2回半回すのと同じです。お作法です。
ただ、この侘びさびにまだ慶次はついてこれないようで、うまく反応できていません。様子を見ているだけです。
立ち上がる慶次
続きまして、Bさんからの矢文…というか、Bくん・Bちゃんと言った方がいいかも。
「いえやすさま、ぼくは6さいで、ほいくえんにかよっています。たくさんえほんをよみたいのに、まいにちじかんがありません。どうしたらよいでしょうか」
踊舞「家康様。こういった矢文が来ておりますが、いかがいたしましょう?」
家康「裁きを申し渡す!名古屋城へ参れ!」
踊舞「こ、これは一体どういうことでございましょうか?」
家康「おそらく絵本を読む時間があるとすれば、寝る前。まだ6歳のお主にとって『寝る』ことは、成長につながる大事な仕事である。これを疎かにしてはならん。ゆえに、起きておる日中に(武将隊が常駐している)名古屋城へ参れ。さすればわし徳川家康が直々にたくさん絵本を読んでやる!」
(いえやすぅ、ききにぃく♪)
「ありがたいけれども、どう考えても保育園に行かねばならんじゃろ」
ようやく慶次がツッコミを入れてきました。そうです。このコーナーは第三者からのツッコミがなければ、ただただシュールな空間が延々と続いてしまうのです。
6歳児が名古屋城に行くには、当然保護者が連れていくことになります。そうすると、保護者は仕事を休まなければなりません。何のために保育園に入れているんだって話です。
前へ進む慶次
踊舞「ありがとうござりまする。それでは家康様、続いてのえまき~の相談に乗って頂きたいのですが、聞いて頂けますか?」
家康「YES!」
(いえやすぅ、ききにぃく♪)
踊舞「ありがとうござりまする。では、読み上げて参ります」
Cさんの矢文「落ち着いた大人になるにはどうしたらよいですか?年相応に見られずに若く見られて困っています」
踊舞「家康様。こういった矢文が来ておりますが、いかがいたしましょう?」
家康「裁きを申し渡す!名古屋城へ来い!」
慶次「そればっかりじゃな!」
いいですよ。いいツッコミですよ。
踊舞「こ、これは一体どういうことでございましょう?」
家康「若く見られるのは悪いことではないぞ。これが毎日毎日、周りの者に『絵本を読んでほしい』と言っておったなら、先程の6歳の者と変わらん、本当のこどもであろう。じゃがお主はそうではないのじゃろう?
どうしてもこどもっぽく見られて、いっそこどもでおりたいと思った場合は、名古屋城へ参れ。わしが直々に絵本を読んでやる!」
(いえやすぅ、ききにぃく♪)
慶次「何でじゃ(笑)」
おや、ツッコミが粗くなってきましたよ。やはり初心者にはこの辺が限界でしょうか。
這い上がれ慶次
踊舞「ありがとうございまする。それでは家康様。続いてのえまき~の相談に乗って頂きたいのですが、聞いて頂けますか?」
家康「YES!」
(いえやすぅ、ききにぃく♪)
「前田慶次、どんどん来い」
家康が、ガス欠気味の慶次に何とか喝を入れるべく、ささやいてきます。
踊舞「ありがとうござりまする。では読み上げて参ります」
Dさんの矢文「上司の顔色を伺い、ヨイショしないといけない忘年会。ほぼ喋ったことのない同僚に送る年賀状。ぶっちゃけ必要でしょうか?面倒です。
400年前の乱世を己の腕1本で生き抜いた家康様に判定して頂きたいです」
「よぉーしっ!よしよし、いいのが来たぞ!」といきなり騒ぎ立てる慶次。どうしたんでしょう。
家康「裁きを申し渡す!」
慶次「徳川家康に頼め!」
なんと、慶次が裁きを勝手に横取りしてしまいました。しかも「家康に頼め」って。
いやいや、すでに頼んでますやん。そういう企画ですやん。…ラジオの前ではそんなツッコミをするえまき~が大勢いたことでしょう。
家康「どうなってるんじゃ?」
踊舞「これは一体どういうことでございましょう?」
問い詰められた慶次。「これはな、そうじゃな。うーん。そうじゃ。んー…」
どうやら、「どんどん来い」というのを拡大解釈して、家康のお株を奪い取ろうとしたようです。しかしいかんせん、見切り発車が過ぎました。何の考えもなしに突っ走ってしまったのです。良くも悪くも純粋。そこが慶次の魅力でもあるのですが・・・。
家康「これにて一件落着!」
(いえやすぅ、ききにぃく♪)
強引に幕を引いて、慶次を救った家康。同い年ならではの心遣いを見せたのでした。
とにかくこれで“洗礼”を受け、成長するであろう慶次。きっと次回はイキでいなせなツッコミを入れてくれることでしょう。
(岡戸孝宏)
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