400年前より現代に蘇りし戦国武将の集団・名古屋おもてなし武将隊が、ラジオ界の天下一を目指す番組『戦国音絵巻』。
11/6の“出陣”は、織田信長、豊臣秀吉、陣笠隊の足軽・哉太郎(やたろう)です。
今回は「太閤さんの猿芝居」の模様をお届けします。
織田信長から“猿”と呼ばれた太閤・豊臣秀吉が、人の心を掴む演技力を披露するコーナー。
えまき~(音絵巻リスナー)から秀吉に言ってもらいたいセリフが、矢文(メール)でたくさん送られてきました。
天下人がコントに挑戦!まさに“コントオブキング”
今宵の軍師はあーまいぞ
秀吉がうまく会話の中でセリフを自然に入れ込むことができましたれば、任務遂行、ミッションクリア。軍師(ディレクター)が合格の証として童謡『アイアイ』の曲を流す、という寸法です。
まずは、選ばれたセリフを哉太郎が読み上げていきます。
哉太郎「えまき~のAさまから頂きました。『秀吉様に言ってほしいセリフは、“すまんのすまんの~”』」
秀吉「はい、すまんのすまんの~」
(アイアイ♪の曲が流れる)
おっと、秀吉が単に繰り返しただけなのに、合格となってしまいました。何というユルユルな甘い査定でしょう。
しかし、この番組では軍師がルールブックなので、仕方ありません。新たに、他のえまき~から送られてきたセリフが紹介されます。
【2つめのセリフ】「紅葉を見に行こうよう」
【3つめ】「豊臣秀吉は、ねねを愛しています。世界中の誰よりも」
ここで補足説明します。
最初の「すまんのすまんの~」は、漫才コンビ・U字工事の持ちネタ「ごめんねごめんね~!」を武士風に変えたもの。
【2】はダジャレ。【3】の「ねね」は、秀吉の正室(妻)です。
言いたいだけですやん
では改めて、企画を進めていきましょう。
「秋も深まって参ったな」と、会話を切り出す信長。秀吉がセリフを入れやすくなるよう仕向けるとは、さすが家来思いですね。
信長「名古屋城は、木々が色づいて参って…」
哉太郎「左様でございます。黄色がかってあっ…あかっ…」
こういうお膳立てには慣れてないのか、緊張して噛んでしまいました。
信長「何でお前がギクシャクしとるんじゃ!ぶつぞ!」
哉太郎「あわわ…」
秀吉「信長様、お許しください!哉太郎、(わしのために緊張させてしまって)すまんのすまんの~!」
(アイアイ♪)
いや、もうそのお題はクリアしてるんですけど…。
構わず会話を進める秀吉。
「いやあ~、ねねや!今日は仕事も終わったしのう、名古屋城に参らぬか?
『そうですね秀吉様。名古屋城へ行ってみましょう♪』
名古屋城はなぁ、紅葉がどえりゃー綺麗なんじゃ。
『そう。紅葉を見に行こうよう』」
(アイアイ♪)
会話というより、独り芝居です。ねねのセリフをわざわざ女性っぽい声色にしてまで。
続けざまに、
「豊臣秀吉は、ねねを愛してます。世界中の誰よりも」
(アイアイ♪)
「いや違う違う、不自然、不自然!おかしいじゃろ!」という信長のツッコミをよそに、
「世の中の女性、すまんのすまんの~!」
(アイアイ♪)
だからそれはクリア済みですって。言いたいだけになってますよ。
「会話の中で自然に言うのが企画の趣旨じゃろ?」と問いただす信長に、秀吉はこう答えるのでした。
「信長様、紅葉を見に行ったということは、“自然”の中で話をしたということですぞ?」と、したり顔。
当然スベりました。
画期的な提案
ここで信長からの提案です。勝手に会話を進めるのではなく、何か芝居の設定を作り、ここにいる全員が参加できるようにしろと。なるほど、寸劇なら自然にセリフを入れられますね。まさしく「猿芝居」です。
では、追加のセリフです。
【4】「オーダー入りまーす!ミラカンひとつー!」
【5】「安西先生…!バスケがしたいです…」
補足説明します。
【4】の「ミラカン」とは、「ミラネーゼ・カントリー」の略で、名古屋発祥の料理・あんかけスパゲッティのメニューのひとつ。野菜と肉類がトッピングされたもの。
【5】は、バスケットボール漫画『スラムダンク』からの名言。有能なバスケ部員・三井がケガで挫折し、バスケ部を恨んで不良仲間と共に襲撃するも、顧問で恩師の安西先生の姿を前に号泣して言ったセリフです。
「一度わし、喫茶店の店主をやってみたかったんじゃ。わし喫茶店の店主やるで、お前(秀吉)はバスケなる部活動の部員をやれ。ちょっと客人として入ってきてくれ」
なんと、漫才でよく見かける段取りを、信長が仕掛けてきたではありませんか。いわゆる“漫才コント”の形式です。
では、世にも珍しい戦国武将によるコントをお楽しみください。
寸劇「喫茶店とバスケ部員」
バスケ部員の客・秀吉「ガラガラガラーッ!(引き戸を開ける音) 」
店主・信長「いらっしゃいませ」
秀吉「ドンドンドンドンドンドンドンドン!(ドリブルする音)」
信長「お客様、ここで毬をつくのはおやめくだされ」
秀吉「なぜですか!?ここでついてはダメなんですか!?」
信長「ご注文は…」
秀吉「ドンドンドンドン!なぜ!?安西先生!わしはバスケがしたいですぅーっ!」
(アイアイ♪)
秀吉「ドンドンドンドン…。待ってくだされ!?わしが客ですと、『オーダー入ります』と言えなくないですか?」
秀吉のごもっともなツッコミに信長も爆笑。ですが信長は逃がしません。「そこを乗り越えてくるんじゃ!そんなのは無限に広げられるじゃろ!喫茶店でアルバイトをしたいという設定にすればいいんじゃ」
さすが信長、うまい咄嗟の判断です。
もう最後は勢いだけです
秀吉「ガラガラガラガラーッ!頼もーうっ!」
信長「何じゃ?」
秀吉「わしはここで仕官したい!」
信長「仕官?わしの店で働きたいと?」
秀吉「そうでございます!」
信長「では面接をいたすぞ!」
秀吉「ははーっ!」
信長「なぜこの店で働きたい?」
秀吉「ミラカンが食べたいからです!」
信長「よし、採用じゃ!」
秀吉「ありがとうござりまするーっ!」
ここで哉太郎に客として入ってくるよう促す信長。
客・哉太郎「ガラガラガラガラーッ!」
秀吉「いらっしゃいませーっ!」
哉太郎「注文、よろしいでございますか?」
秀吉「はい、喜んで!何でございましょう!」
信長「秀吉君、居酒屋じゃないんだから、少し声の音量を下げてくれるか?」
秀吉「わかり申した!ドンドンドンドン!ドンドンドンドン!」
哉太郎「おすすめのメニューは…」
秀吉「ミラカンでございます!」
哉太郎「じゃあそれをひとつ」
秀吉「オーダー入りまーす!ミラカンひとつーっ!」
(アイアイ♪)
なぜミラカンが食べたいという理由で採用されたのか、なぜドリブルしながら接客しているのか、ツッコミどころ満載ですが、話はかなり広げることができますね。秀吉もノビノビ芝居ができて楽しそうです。
ただ信長だけは「なぜお前の猿芝居の設定を、わしが考えにゃならんのだ?わしが大変な企画になっとるではないか」と、苦笑いするのでした。
(岡戸孝宏)
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